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闇影 − 旧・小説投稿所A

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闇影
− 闇影(傍観) −
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『…!!』
バクッ…

人間の上半身がくわえ込まれる、そのまま持ち上げられて、じたばたと足を動かして抵抗をするが、落ちてくるのは獲物の身体を伝わってきたねっとりとした唾液だけ。

ハグッ…クチャッ…クチャッ…バクン…

黒竜は天を仰ぎ、くわえた獲物を活きの良いまま口内へと、何度かくわえ直してから収めてしまう。
中から聞こえる叫び、助けて欲しいと言っているのか、それとも、死にたくないと言っているのか、どちらにせよ、誰の耳にも届く事は無い。

…ムグッ…ズチュッ…

口がもごもごと動かされる、あの中では獲物が優しく舐め回され、唾液を塗りつけられ、甘噛みされ…生命を少しずつ削り取っていかれる…
隙間から溢れ出る唾液が、獲物が美味い事を証明している、叫びすらも口内に封じられ、何も出来ないままに舌に玩ばれ、やがては抵抗すら出来なくなり…
黒竜が再度上を向いた。

ングッ…ゴクッ…

恐ろしい嚥下の音、上を向いたままの黒竜の喉を膨らみがゆっくりと腹に向かって降りていく…
膨らみは腹に到達すると、溶け込むかのように消えてしまった。

《グフゥ…》

満足そうに黒竜が目を細める、うっとりとした表情、だが、その腹からは未だに声が聞こえる。
真っ暗な中、身体を灼かれる苦しみに悶えているのだろうか…

グチュッ…グギュッ…

胃袋が激しく動き、中の獲物を消化し始めた、しばらくは抵抗の音や声が聞こえていたが、やがてそれも聞こえなくなってしまう。

ググッ…ゴパアッ!!

獲物を丸呑みにした黒竜が何かを吐き出した、粘液にまみれたそれは…人間1人分の衣服だった、ぐちゃぐちゃになって蕩けてしまっているそれは、呑まれた獲物がどうなったのかを体現していた…

グルル…ギュルル…ゴポッ…

腹の中で響いた音、獲物が溶かされ、腸へと流し込まれる音、黒竜はこの音を聞くと嬉しそうに目を瞑った…

朝になって残っていたのは、ドロドロになった衣服だけだった。


<2012/02/20 03:33 ラギア>消しゴム
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