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人を呪わば穴二つ − 旧・小説投稿所A

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人を呪わば穴二つ

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数時間後――

いつの間にか空は綺麗な茜色に染まり、太陽は今にも地平線に消えようとしていた。

「今日は……ありがとう。おかげで風邪も治ったし…ぅえ……」

リザードンに家まで送ってもらったイーブイは、お礼の言葉を述べる。

「なに、当たり前のことをしただけだ」

照れくさそうに顔を爪で引っ掻きながら、リザードンは言った。

「今度また……どこかで会わない? お礼も、したいしね」

「あぁ、そうだな。俺はいつでもいいから。なんかあったら訪ねてくるといい、今度はもっと勇気をもってな」

クククと笑いながらリザードンは言う。
イーブイの手にはまだあの感覚が残っていた。

実はイーブイ。今日、生まれて初めて空を間近に感じた。しかし、あまりの高さに、イーブイは恐怖に打ち勝てず何度か叫んでいた。

対するリザードンは面白がって、空中旋回や急降下を繰り返していた。

次々に変わる景色に、酔ってしまっていた。
そんなわけで、イーブイはぐったりしていたのだった。

リザードンに手を振るとイーブイはよろよろと家の中に入っていく。
パタンという扉が閉まる音と同時にヒュッと空気を切る音が聞こえた。

そんな音も気にせず、イーブイは真っ先にベッドに向かい、枕に頭を突っ込んだ。

「う゛ー、吐きそう……」

苦しさにまかせ、顔を歪ませる。
全身の力が、自分の意思に関係なく抜けていく。

あまり深く呼吸をすると、本当に吐きそうだと彼は思った。
だからイーブイはスンスンと短く、空気を吸い込んでいる。

少しずつ、青ざめた顔も血色を取り戻し普段のイーブイになってきた。

本人も安心し、一息つこうかと思った矢先だった。

「――っ! うっ!」

口に手を当て、横になった体を跳ね起こし、ベッドから飛び降りる。
その勢いのまま、彼はトイレに飛び込んだ。

あとから聞こえてきたのは、イーブイの苦しそうな呻き声だった。







「お、お願い。僕を食べないて」

「……すまないがそれは無理だ。こっちも我慢の限界なのでな」

ガタガタと震えるパチリスを前に、リザードンは冷徹な目を向ける。

「うぅ、まだ死にたくないよ」

「……すまないな」

リザードンは静かにそう呟くと、パチリスを鷲掴み口の真上まで持ってくる。

そして、リザードンは手を開いた。

パチリスの体は、重力に従ってまっすぐに落ちる。

「うわあああっ! ――」
悲痛な叫び声は、バクンという大きな音によってかき消されてしまった。


今更ながら、小説投稿所Bで物語を一本公開しました。
よろしければ感想や評価のほど、よろしくお願いします♪

作品名『Deep Darkness』
作者 ミカ
<2012/03/08 01:24 ミカ>
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