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日常 − 旧・小説投稿所A
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日常

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かなり長蛇の列で、少なくとも13人はいる。


「で…買ってこいと…?」
カイオ「うん♪」
「何個?」

カイオ「1ダース♪」

「いやいや、いくらかかると思って…!」

カイオ「だめならルカリオくん食べちゃうぞ〜?」

ルカ「えっ……」

元々蒼いルカリオの顔から、更に血の気が失せる。


「…分かったって………」

とうとう僕は降参し、財布片手に列へと並びだした。


「おーい!!2人ともベンチ座ってろよー!?」

ガキに話すかのように大声で叫ぶ。あいつら(特にカイオーガ)自由にすると何しでかすか…

(以下2人の様子)







ルカリオとカイオーガは、並んでベンチへと座った。しばらく時間がかかりそうである。




ルカリオは意味もなく気まずい雰囲気に陥る。実際カイオーガとはほとんど話した事はなく、相槌を打った事ぐらいしか無い。
性格が正反対だからか、妙に話が続かないのだ。


ルカ「……」

ふと、カイオーガの膨れあがったお腹に目が行く。さっきの不良達はまだ頑張っているようで、ぽこぽこと可愛気な抵抗を続けていた。


蠢く出っぱった部分を、ルカリオは野性的な興味からか、肉球でぶにゅっと押し込む。



カイオ「…なあに?」

通り過ぎていく沢山の人々を貪欲に見つめていたカイオーガは、くすぐったい感触にルカリオの方を向く。ルカリオは「しまった」と思い、急いで手を引っ込める。



ルカ「あ…いや……1つ聞きたいんですけど…」


何とか目を合わせないよう努力しながら、ボソボソと呟いた。


ルカ「この人達……出さなくて…いいんですか?」

仲間相手に緊張しながら、暗い呪文でも唱えるかのように述べる。そろそろ出してあげないと、消化が始まってしまう…






カイオーガは方程式を解けと言われた小1のように、キョトンと首を傾げる。

カイオ「…何で出すの?」

ルカ「えっ…!?」


ルカリオは体が震えだす。まさかこのカイオーガは………



ルカ「いや、でも………早く出さないと溶けて…しまうんじゃ…?」


カイオーガは一瞬質問の意味が分かっていなかったようだが、すぐに悪戯がバレたかのような顔でクスッと笑う。


カイオ「分かってないなあー…溶かしてるんだよ?じゃないと他の物が食べられないじゃないか。」


ルカリオはあんぐりと口を開ける。出さないという事は…消化する事。消化するという事は……胃液で溶殺すること。



ルカ「だ、だめですよ……命をそんなふうに……」

カイオ「あのね…人間はこの世界に何十億っているんだよ?こうしてる間にも何千人、何万人って生まれてるんだ。今頃2人ぐらい大丈夫だよ。」

嫌に哲学的な文章を淡々と言い放っ。ルカリオはあがあがと何か言おうとするが、適当な単語すら思いつかない。


カイオ「そ、れ、に♪」

最も凶悪そうなにやけ方で、カイオーガはぐんと顔を近づける。

カイオ「あんなやつがたったの2人溶け死んでも、だーれも気づかないって。」

ルカ「で、でも……」

カイオ「もういいでしょー?これ以上文句いうなら……」

舌が口端から飛び出し、ルカリオの胸をベロンと舐めあげる。お腹はもう半分以上小さくなっており、次なる獲物を今か今かと待っていた。



ルカ「わ……分かりまし…た…」

自分でも顔が青ざめるのを感じ、ベンチの端へと体を寄せる。






ロンギ「おーい………買って…き…た…」

ずっと立ちっぱなしだったためか、足がフラフラしながら帰ってくる。手には14本のアイス(持ちきれないので箱買い)と、すっ
からかんの財布を握っている。


カイオ「わ〜い、アイス〜!」

ルカリオの胸から箱へと舌を回し、器用に2本残して口に全部投げ入れる。
僕とルカリオは浅い溜め息を同時につき、ひんやりとしたアイスを口に運んだ。


カイオ「うー♪美味しいー。」

「…まあまあ……(あんにゃろ…俺の経済事情も知らずに…)」

ルカ「……味…しない…」


ルカリオはそれから一週間、カイオーガとは口を聞かなかった。


<2011/05/15 15:04 ロンギヌス>消しゴム
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