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目の前に居る邪竜はその様子を見て、ニヤリと微笑むと、あなたの目の前で

グバアッ！

と、その大きな口を開ける、ねっとりとした唾液が上顎と下顎の間に白い線を描き出し、それはあなたの顔に滴り落ちた。

生臭い竜の唾液で視界がぼやけてしまう、すぐに拭き取ったが、邪竜の口内が良く見えてしまう為、もしかしたら拭き取らない方が良かったかもしれない。

ずらっと並んだ鋭利な牙は、唾液に濡れて恐ろしい輝きを持っており、喉の奥は真っ暗になっていて何も見えなかった。

そうこうしている内に生暖かい吐息があなたに吹きかけられる、次の瞬間、柔らかい舌があなたの顔を覆い尽くしてしまった、あなたは息が出来ずにじたばたと暴れてしまう、邪竜は舌を離す気配はない。

あなたは意識が朦朧としてきて…残念ながらあなたは眠りに落ちてしまった…







哀れな獲物を気絶させたのを感じ取った邪竜は、静かに舌を離す、ぐったりとした獲物をじーっと見てから、もう一度口を開き、パクリとくわえ込んでしまった。

天を仰ぐようにして、上を向くと、その身体はするりと口内へと収まってしまう、そして…

ングッ…ゴクン…

嚥下の音が静かな森に響き渡った。



あなたがどうなるかは、我の知った事ではない、あなたが腹の中で意識を取り戻し、暴れたとしても、あなたは溶かされてしまうのだ。


そうだな…まだ食い足りない、今度はこの文章を見ている人間を、貴様を喰らってやる…

《世界跨ぎ》と言うのをご存知かな？

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