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堕ちるプラズマ − 旧・小説投稿所A
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堕ちるプラズマ

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体に長ったらしい何かが巻き付く。舌だろうか・・ぷにっと柔らかい。

そのまま躊躇なく持ち上げられる。「トモダチ」に身を任せ、ゆっくり・・・・丁寧に。














「あり?君だったの?」

聞き覚えのある声・・・・・・カイオーガだった。さっきのは幻影だとでもいうのだろうか。

Nの緩みきった口が、静かに開く。


「ゼクロム・・は・・・?」

「えへへ・・・はぐれちった♪」

カイオーガのにこやかな顔が3つに映る・・・視覚までどうにかしてしまったのだろうか?

再び死への願望がよみがえる。








「ん・・・・手錠?」

カイオーガはするすると舌をほどくと、透明なダイヤの手錠に目を向ける。Nはとっさに隠そうとしたが、カイオーガはそれをそれを手に取りまじまじと見つめる。


「どうしたの?これ。」

「何でもないよ・・・・気にしないでくれ・・。」


疑るような目つきで睨まれる。カイオーガに、嘘など通用するはずがなかった・・

幽霊のような頬を、ピンクの舌が舐め上げる。


「ひうっ・・・」
「だめだよ〜、嘘ついちゃ。教えてよ♪」


Nは観念し、洗いざらい話し始める。驚いた事に、一言一言打ち明ける度に心に巣食っていた汚点が、少しずつとれていくような気がした。カイオーガはNの口からこぼれ出る言葉を優しく受け止め、黙って相槌を打つのだった。













~~~~~~~~



























一通り話し終わるとカイオーガは手錠に牙をあて、ガキンと硬い音を立てて噛み砕いた。



「あ・・・ありがとう・・」

「いいよ。こっちこそ話してくれてありがとね。」








Nは気づく。



「トモダチ」がいてくれているのに、独りよがりな希望で死ぬだなんて論外。

ポケモンだけが味方で何が悪い。ゲーチスの言うようにボクは人間じゃないのならなおさらだ。





過去の陰鬱な方程式は消え去り、理論では解明する事のできない思いが、Nの心に深く焼き付けられた。












「もうそろそろ来るかな?」

「え・・・?」


瞬間、辺りが暗くなる。いや、自分とカイオーガの周りだけだ。


ふと、上を見上げると・・・










『トモダチ』という名の友達が、温かく自分を見つめていた。


<2011/05/15 14:54 ロンギヌス>消しゴム
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