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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ − 旧・小説投稿所A

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竜の恋路を邪魔する者は喰われてしまえ

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「これは俺の住処の洞窟の前に落ちていた。こんな鉄製の物騒な矢を使う連中なんざ君らぐらいしかいない。大方俺を討伐しに来たハンターが落としたんだろうな」

ハンターたちは皆無言だった。
ドラゴンたちがこうして自分たちハンターの本拠地とも言うべきギルドをわざわざ襲撃した理由。
それは自分を殺そうとしたハンターたちに復讐しに来たに違いない。
それも完膚なきまでに叩きのめすために、あの伝説の黒竜を助っ人に連れてきたんだ。
ひょっとしたら、知らぬ存ぜぬを貫けば帰ってくれるかもしれない。
ハンターたちはそんな淡い希望を抱いていたのだが、

「まあ別に俺のことを討伐しようとしたことはいいんだが」

カルメディの発言に虚を突かれた。
じゃあ一体何をしに来たんだ?
まさか馬鹿正直に落し物を届けに来ただけなのか?
ハンターたちは混乱した。

「この矢の持ち主は誰なんだ?そいつに聞きたいことがあるんだ」

「んなもん答える義理はねぇ!ドラゴンハンターのホームにのこのこやってきてただで済むと思うなよ!」

一人のハンターが銃のようなものを構えて二匹に突撃した。
しかし黒竜はそのハンターを鷲掴みにすると、顔の前へと持っていく。

「この矢はお前のものか?」

「知らん。この――」

「ならば用はない」

黒竜は手の中にいたハンターを口の中にポイッと放り込むと、ぼりぼりと二、三回ほど咀嚼して飲み込んでしまった。

「貴様ーッ!」

ハンターたちは弔い合戦と言わんばかりに攻撃を開始した。
だが致命傷を与えることは出来ず、黒竜は一人ずつ摘み上げては矢の持ち主かを問い、捕食していく。
数分足らずで、残ったのはあの若いハンターと女のハンターだけになってしまった。
黒竜はかまうことなく女のハンターのほうを摘み上げる。

「この矢はお前のものか?」

「……違う」

女のハンターはすっかり放心状態になってしまっていた。

「そうか」

黒竜はこれまでと同じように口の中へ放り込もうとする。
しかし

「待ってくれ!」

と、待ったがかかった。

「その矢は俺のものだ!」

若いハンターが叫んだ。

「本当か?」

黒竜は女のハンターを手放した。
そのため女のハンターは地面に叩きつけられ、苦悶の声を上げる。

「私の妻をどこにやった?」

「つ、妻?」

黒竜のすさまじい威圧感に圧倒されつつも、本当にぴんとこなかったために逆に聞き返した。

「洞窟に少し古めかしい格好をした人間の女性がいたはずだ!」

「ああ、確かにいたよ。そういえば私は竜の妻ですみたいなことを言ってたな」

「彼女をどこにやった?」

「教えられないな。お前は、人間である彼女を洗脳して無理やり妻に仕立て上げていただけだろ」

次の瞬間、黒竜の拳が若いハンターのすぐ真横に落ちてきた。

「竜(ひと)の愛する者を一方的に奪っておきながら何たる侮辱!ならば貴様に本物の洗脳がいかなるものか見せてやる!」

黒竜は足元に転がっていた女のハンターを摘み上げ、口の中に入れた。



<2011/08/28 19:52 とんこつ>消しゴム
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