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白炎の龍 〜行き場を失い…〜 − 旧・小説投稿所A
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白炎の龍 〜行き場を失い…〜
− 生存と崩落 −
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「…い、嫌だぁ! 嫌だ嫌だああぁぁぁ!!」
「だ、誰か来てくれええぇぇぇぇ!!!」

仲間たちはてんでに 騒ぎ出した
無理もない…
これで取り乱さなかったら 理性がないか死んでるかだろう
現に僕自身も 大粒の涙まで零れ落ち、本来なら地震のように体中震えているところだが、
完全に固まった体は それも許されない
それと 股の間がぐっしょりに湿っているのは僕だけじゃないはず…

あの噂がある限り、普通ここへは誰も来ないだろう
それがわかっていた僕は 唇を噛みしめて固く目を閉じた…

次々と叫び声が悲鳴へと変わり、一つずつ確実に消えていく…
その度に生々しい音が低く響くことに 途轍もない悪寒が体を襲ってくる


約10分もの間 この恐ろしい悪夢が繰り返された僕たちは
いつの間にか たった七匹にまでに減り、だいぶ静かになってしまった…
すでにあきらめた仲間は沈黙し、失神した者もいるようだ

すると、またあの声が奥から響き聞こえてくる
先ほどとは打って変わり、満足に満ちた快楽な蛮声だ

「…ゲフウゥ……
 へへ、やっぱ絶品だなァ…若いのは」

僕たちを完全に見下し 嘲笑った口調だが、
誰一人として 反抗する者はいない…
そんなことをすれば どうなってしまうかなど目に見えている
どの道そうなるとしても、やはり命を縮めたりなどは 理性的にしないものなのだろう…

「……しっかし、いくら好物とはいえ この数を一度にはやはり無理があるか…
 だがやはり、生かしておく訳にもいかんしな…
 ま、充分楽しんだことだ…、…エアロブラストで 一度にやってしまうか…」

ブースターと僕だけは その技を少しながらも噂に聞き、その危険性も薄々知っていた
故に 一瞬で全身の血の気が引き、意識が吹っ飛びそうになったのは 僕ら二人だけだ

『エアロブラスト』…
かまいたちの数十倍の威力はあると言われる 伝説の技だ
こんなところでこの技を聞くとは 思ってもみなかった…が、
そんなことを言っている場合ではない、
受けてしまえば即死級の技が 真正面からもうすぐ……!?

“…フィン……シュルルルルルルル……”

“……ドチャッ……”

とっさに『守る』を使用した 僕を含める三匹以外は、
目には見えない空気のやいばに襲われ、
ミンチ状の赤い肉塊となり その場に崩れた…
反応が遅れたブースターは 右耳を失うも、命は助かった

すると、残った三匹の体の硬直は徐々に解け、
あの声も 空気のように消えた…

身体が完全に動けるようになった三匹は、骨がなくなったように倒れ込み
しばらく立ち上がることさえできなかった


そして今の状況…
…という訳だ…




あ、流血注意 出さなくてよかったかな…?
<2011/07/29 01:39 ギン鶴>
消しゴム
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