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【保】迷い人 − 旧・小説投稿所A

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【保】迷い人

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『脱出に使えるなら貸すよ』

そう言い彼女の手にカッターナイフを渡す

『これで細かい蔦を切れるわね』

そう言い細いナイフを力強く蔦に押し付けて切ろうとする…今にも折れそうだ

『あ…力強く押しちゃ』

ベキッ『あっ』『あっ』

鈍い音と共にカッターナイフはへし折れてしまった…

『そんな…』

慌ててポケットの中を探るがもう何も残ってない…

『どうするのよ!これじゃ逃げられないじゃない!』
『ごめん…僕が使ったほうがよかったね…』

僕達はなすすべもなくそのまま時間だけが過ぎていった…

そして次の日の朝…蔦が巻き上げられていく…

『とうとう食べられてしまうのか…』『もう終わりね…』
眼前には昨日見た巨大な竜だった…巨大な顔が迫ってきて一瞬で檻ごと呑み込まれてしまった…

『食べられた…』『…』

突然彼女が僕に抱きついてきた…毛皮があたって少し暖かい…

『な…どうしたの?』『怖い…』

そう言ってる間に腹の中まで呑み込まれて真っ暗な体内で名も知らない彼女が抱きしめてくる…

『僕も…怖いよ』『…』

彼女は僕を抱きしめたまま泣き始める…檻がどんどん肉壁に埋もれていく…

『…』『ずっと抱きしめて…』

僕はそっと彼女を抱きしめたまま体中に肉壁が埋まりそして圧縮され意識が途絶えた…

BAD END3 抱きしめて…



<2011/11/24 00:01 狐人>消しゴム
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