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友達以上、それ未満。 − 旧・小説投稿所A
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友達以上、それ未満。
− 集結する想い −
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「はぁ…はぁ…ね、ねぇギラティナ…」

「ああ…私も同じ事を考えていた。す…少し休憩しよう」

「さんせぇーい…(ガクッ」


セミが公害レベルの鳴き声を響かせ、灼熱の太陽がギンギラギン
に照りつける中。二匹は調子に乗って遊びすぎ、ゼーゼーと荒い
呼吸を繰り返していた。はしゃぎ回っていたカイオーガの顔にも、
流石に疲れが見える。


『休憩所』

「「あそこだぁああああっ!!!」」


二匹はマッハに達しそうな速度で、
休憩所の看板を目指して走っていった。



==================


ゴォォォォォォー・・・

「涼しい〜っ!! クーラーって人類の偉大な発明だよね」

「ハハ…科学の勝利、か…」


クーラーの冷気が直接当たる、まさに最高のポイントをGETした二匹。
彼らの肌を、人類の偉大な冷風が舐めていく。


「カイオーガ、喉渇いてないか?」

「あっ…今考えたらカラカラだよ。何か飲み物買ってくるね」

「あっ…いや、私が行こう。何が欲しい?」

「いいの? じゃあ….CCレモンお願い」


ギラティナは椅子をガタンと席立ち、三百円を翼に握りはるか
遠くの自販機に向かった。どうやらこの休憩所、自販機が
設置されてないらしい。



==================


「……はぁ……」

死にそうな表情で、CCレモンのボタンを押すギラティナ。
カイオーガが隣にいなければ、ため息ばかりついてしまう。


ピッ…ガタッゴトン!!
チャリチャリン…チャリチャリン…チャリチャリン…

「思い詰めてるわね。どう? 告白できそう?」

「いや…全然タイミングが….ってお前!!!」


ギラティナの不意を突いたのは、午前中に別れたはずのレックウ
ザだった。Liptonのペットボトル片手に、慰めるような顔でギラテ
ィナを見つめている。


「そんなに形にこだわることないわ。ありのまま言う
のが一番思いが伝わるのよ? これは女心からの忠告」

「お前と一緒にするな…そう簡単にいくはずが無いだろう…」

「はぁ….で? あの子のどこがお気に召したの?」


ギラティナはその質問が、どんな数式を解くより難しく
思えた。一概に好きなところと言っても数え切れないの
で、投げやりな答えで返す。


「・・・全部」

「ほら、すぐそうやってまとめる。言葉にできないの?
できないなら愛される方も可哀想だわ」

「わ、分かった……」


目を閉じ、冷静にカイオーガの姿をイメージしてみる。そして考えた。

ーーー何が恋に落ちた原因だろう?
顔…そして性格がタイプだったから?
優しくしてくれるから? 八重歯が可愛いから?

どれも魅力の要素だが、決定的なものではない。
結局、ギラティナはその答えを導き出せなかった。


「…まあいいわ。
それでも彼の全部が好き…嫌いなとこなんて無いのね?」

「ああ…絶対だ」

「ふぅーん…じゃあ秘策(一般常識)を教えてあげる」


レックウザは身体をくねらせ、ギラティナの耳元に口を接近させた。
彼女の吐く息が、ギラティナの耳をそっと撫ぜる。


「ごにょごにょごにょ….どう? 簡単でしょう?」

「バカな…そんなのまるで小説じゃないか…」

「でも試す価値はあるわ。それで結ばれるなら安いものよ」

「で、でも失敗しt…」

「待たせてるんでしょ、ほら行ってきなさい!」


背中を押され、休憩所への帰路に立たされるギ
ラティナ。ぎこちない表情で振り返ると、レッ
クウザが薄っすら微笑みながらこちらを見ていた。


「最後に、一つだけ教えてくれ….なぜ私に手を貸す?」

「フフ.…言わないわ。女は秘密を着飾って美しくなるものよ」


そう言い残すと、レックウザは踵を返して行ってしまった。
ギラティナは人気のない自販機コーナーに佇みながら、
誘ったときの決意を不死鳥のように蘇らせる。



「愛される方が可哀想、か…」





==================


「た、ただいま….」

「おかえり〜。遅かったね」


カイオーガは投げ渡されたCCレモンをヒレでキャッチする。
一方ギラティナは缶コーヒーをテーブルの上に立て、そこに
だるそうに顎を置いていた。休憩所なのに、休憩できてない顔だ。


プシュッ!
ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…

「ぷはぁー・・やっぱり夏は冷たくないとね!」

「ああ…そうだな….」

「元気ないねー、どうしたの?」


相槌だけの返事をしていたため、急な質問には大きく飛び上がる。
緊張と疲労と興奮で、ギラティナの心はくたびれていた。それでも
最後の誘い出しをいつ言うべきか、タイミングを見計らう。




「おい…カイオーガ?」

「は〜あ〜い?」


二匹の間に沈黙が訪れた。その一瞬を狙って、ギラティナは話を持ち
かけた。カイオーガの疑いのない瞳が、すぐに自分の顔を見つめる。


「こ、この後についてなんだが…」

「うん」

「私が行きたい場所があるんだ…そこでいいか?」

「いいよ、もちろん♪」


まさかの即答だった。てっきり、「えー」とか「あそこがいい」
のように反対されると予想していたのだ。OKをもらった以上、
もう後へは引き下がれない。


「もうすぐ閉園になるもんね。これ飲み終わったら行こっか」

「あ…ああ…」


「どこ行くの?」と質問が飛んでこないのは幸いだった。
ギラティナは苦すぎるコーヒーを無理やり胃に流し込み、
空き缶をヒョイと後ろに放り投げた。寸分の違いもなく、
缶はゴミ箱の中の闇へと消える。



「さぁーて、行きますか!」

「ああ…こっちだ…」


アトラクションの場所へ案内するため、ギラティナは彼より
一歩先に休憩所を出た。クーラーに保たれていた冷気が、再び
肌を焼くような太陽にかき消される。


「どこにあるの? そのアトラクション」

「た、確かアリーナの中心に….あ、見えたぞ、あれだ」




<2011/08/04 22:02 ロンギヌス>消しゴム
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