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【保】ポケモン捕食短編集 − 旧・小説投稿所A
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【保】ポケモン捕食短編集

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『大坂城の罠』


(注意:この話は、安土桃山時代の人間をポケモンにしてみましたという感じの
意味不明な設定の話です。そういうのが嫌な方は引き返して下さい。
あと、間違えても人間で想像しないで下さい。なにせ捕食話ですから)


摂津国、大坂城。
天下を統一した太閤、豊臣秀吉の居城だ。
今宵この城に、一匹の若き忍者が潜んでいた。

忍者の種族はヘルガー。
闇夜に紛れやすい漆黒の色をしたポケモンだが、
例えもっと目立つ色の種族でも彼は容易く忍び込めたかもしれない。
それ程までに、彼の潜伏技術は優秀であった。

彼の任務は言うまでもなく、豊臣秀吉の暗殺である。
主君がどのような理由で暗殺を命じたのかはわからない。
忍はただ、忠実に任務をこなすだけだ。

(……奴か)

厳重な警備の目をかいくぐり、忍者は秀吉の寝室の上にまで来た。
ニドキングが無防備に眠っている。間違いなく、豊臣秀吉その人だ。
ここに来られる忍などいないとでも安心しきっているのだろうか。
天下人といえど、戦の前線に出ることもなくなった、五十四、五歳の男だ。
危機を察知する力が衰えていても不思議ではない。

短刀を口にくわえ、目にも止まらぬ速さで忍者は飛び降りる。
秀吉の首目掛けて、刃が突き出された…

「ガッ!?」

のだが、その短刀は忍者の口を離れ、あらぬ方向へと転がっていった。
気付けば忍者は秀吉に組み敷かれていた。

「ふっ、若いな。忍び込む業は一流だが、実戦が足りぬわ」
「ぐ…あ…!」

強い力で押さえ付けられる。
体の身軽さを重視して鍛えていた彼に、
怪獣ポケモンの豪腕を振り解くような力は無かった。

「天下人たる者、いついかなる時も命の危険があって然るべき。
 ならば当然、危機には敏感になるものよ。
 …まぁ、あの警備を逃れた実力は認めてやるが、
 ワシを無防備に眠りほうけているものと思うのでは、ぬしは半人前じゃ」

そう言いながら秀吉は、忍者を羽交い締めにする。
ジタバタと暴れる忍者の顔に、自分の顔を近付けた。

「ぬしがくノ一ならば側室として迎えてやらんでもなかったが…
 男ならば仕方あるまい。この秀吉の寝室にまで入り込んだその業に免じ、
 今回はぬしの主君については聞かないでおいてやろう」

忍者の顔に限界まで顔を近付けると、秀吉は大口を開けた。
涎が滴るその口の中を見て、忍者はこれから自分に起こる事を一瞬で把握した。
そしてそれは、いついかなる時に命を落とそうとも構わないと覚悟していた
彼にとっても、今まで予期したこともなかった事態であった。

……自分はこれから、この男に喰われる。

「や……やめろおおぉぉ!!」
「我が血肉となること、誇りに思うが良い!」

……バクリと上半身を口に収められ、あっという間に下半身も吸い込まれる。
チュルリと尻尾を麺のように啜られて、大きな嚥下音とともに忍者は呑み込まれた…。


「太閤殿下! 先程の声と物音は……」

家臣のポケモン達が寝室に駆け込むと、そこにいたのは
涎を垂らしながら満足そうな顔をして、仰向けで眠っているニドキング。
そのお腹は大きく膨らみ、小刻みに揺れていた。

「げーっぷ! …むにゃむにゃ……うまかった……」

…その様子を見て、ポケモン達は無言で寝室を後にした。

「…殿下のご趣味にも困ったものでござるな。
 ご自分の命を狙う忍を食べるのが趣味、など…」
「いやしかし、戦が無くなり堂々と捕食ができぬというのは辛き事。
 拙者も同じ怪獣ポケモン、心中お察ししますぞ殿下…」
「確か以前、警備の者が捕らえた忍も平らげてしまったのであろう?
 まったく、とんでもない食欲と言えますな…」
「これ、殿下の耳に入ればお主も呑まれるやもしれぬぞ!」

そんな家臣達の話などまるで聞こえていない秀吉は、
大きなお腹を撫で回しながら眠っている。
その間にも、胃袋の中は胃液に満ちていき…

コポ、コポ…… ジュウウウッ………

中にいる忍者は、必死の抵抗も空しく、ゆっくりと消化されていった……。


<2011/06/16 22:50 Lupus>消しゴム
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