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【保】捕食学校 第2話 − 旧・小説投稿所A

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【保】捕食学校 第2話

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授業が始まって二時間が経った。余りにも早過ぎると思われるが、一・二時間目の授業で肉体的にも精神的にもどっと疲れたような顔をするエルガ。国語の授業が終わった瞬間、大きく溜息をついて机に顎を乗せた。
そんな彼を追い詰めるかの様に、刻々と時間が過ぎた。

「えっと…次は体育だっけ…」
「あー、着替えなきゃな…」

そんなセリフも聞こえてきた。
その言葉を耳にしたエルガ。やれやれと言った表情で席から立ち上がり、持ってきた通学鞄とは別の鞄から運動用のシャツだのジャージだのを取り出し、のそのそと着替える。
他の面々はすでに着替え終わって外に出ようとする者や、上手く着替えれずに苦戦している者など、様々だった。彼もようやく着替え終わり、そのままの足取りで外のグラウンドへ出る。服装は個人の自由と言う校則があるらしいが、この時だけは「動きやすい服装にすること」となっている。
ただ、彼が元々着ていた服装も中々動きやすそうに見えたのは気のせいだろうか…。

空は澄み渡っており、花見をするには持って来いの天候に恵まれた。恵まれ過ぎて逆に虚しい気分になる位でもあった。
エルガを含む被食学科上級生のクラスメイト全員が外に集合した時に、丁度授業開始の鈴が鳴り響く。クラスメイトはすでに整列をしていて、後は担当の教員を待つだけであった。この位しっかり出来ていればなぁ…。
そこへ、何やら鬼のような厳しい顔をして、片手には竹刀を、もう片方には出席名簿らしい黒い帳面を持って現れた。かなり背の高い人物で銀色でボサボサに伸びた髪を持ち、左の頬に黒い十字の刺青(いれずみ)を入れた、20代程の人間だった。
どこか…物凄い威圧感を感じる…。

「ゴホン!え〜、体育講師のノイスだ。まぁお前達とは去年一昨年も一緒だったが、宜しくな!」

元気がいいのか、はたまた生徒達に喝を入れているのか…とにかく威勢の良い野太い声だった。その光景はまるで、入隊したての新米兵士と対峙する上官兵士のようだった。
そして、再度ノイス先生の口から言葉が出される。

「あー、実はな…今日の授業何にするか決めてないんだ。だから、今日はドッヂボールをやってもらう


…と言う事だ。と言うか何故新学期早々こんな事態が続くんだ?…あ、新学期だからか…。
兎に角、今日はドッヂボールをする羽目になった。早速準備体操をし、丁度30人程の生徒達が半分半分になるように別々に分かれる。
…あ、言い忘れていたが、体育の授業はこの学校では二時間連続となっている。勿論小休憩は取るが、大半の生徒がこの授業の後大変な疲労と睡魔に襲われる事が多い。
っと、そろそろゲームが始まるようだ。
それぞれ内野十人、外野五人に分かれ、ジャンケンで勝った方からの先攻となる。制限時間はメンバー全員がアウトになるまで。負けたチームはグラウンドの整備をする決まりなので、それだけは避けたいと両チームともやる気が上がってくる。
そして試合が開始される。
先攻はエルガのいるチームとは逆のチームからとなった。早速相手の球から逃れようとバラバラになって避ける。が、コートの狭さが仇となったか、相手チームのボールから中々逃れきれないようだ。アウトとなったメンバーは元々外野だったメンバーと交代をしていくが、それもあまり効果はなかった。
ふと、相手チームのパスミスだろうか、ボールがゆっくりとこちら側のコートに転がってくる。

…チャンス…

それから風向きが変わったかのように、今度はエルガ含むこちら側のチームの攻撃となった。そしてそれはチームのやる気を奮い起こし、投げたボールは相手チームのメンバーに容赦なく当たり続ける。
だが、それでも相手チームの攻防も衰えたわけではない。飛んできたボールを我が身を盾にして必死に掴まえ、投げる。外野のメンバーを内野に戻そうとパスを出し、内野外野への行き来もそこそこ見受けられる。
それから数分後…。
各チームの内野もそれぞれ一人。こちら側のチームはエルガ。そしてもう片方のチームには、今は動きやすそうな服装をしており、腰からは二股の黒い尻尾、顔は人間のようではあるが、頭から黒い二頭辺三角形の耳が生え、フリルのついた緑色の帽子を被っている。

「頑張ってよ、橙(ちぇん)!」
「任せなさいな!」

外野から応援の声が聞こえる。それに対して、橙(ちぇん)と呼ばれる猫獣人(かどうかは極めて分かりづらいが、元々化け猫なので敢えてこのように解釈しておこう…)は元気よく手を振って答える。
だが、幸いにもボールはエルガ含むこちらのチームで、今は外野の一人が持っている。エルガも橙も、外野の面々の既にクタクタに疲れていた。


<2011/06/16 22:36 K-urz>消しゴム
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