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〜王の資格は 決戦編〜 − 旧・小説投稿所A

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〜王の資格は 決戦編〜
− 柔壁の向こうに見える光 −
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「ひらけーーーっ…ゴマ!!」


にちゅ…んぶちゅ…


「ひらけーーーっ…ゴマ!!」


ぬぷぅ…グゥ…くちゅ…

「うーん・・全然開かないね。」

今や二百匹以上の獲物が幽閉されている、リオレウスの巨大なホールの
ような胃袋。その天井部分にある噴門と呼ばれる穴に向かって、カイオ
ーガは意味も知らずに呪文を唱えていた。陽気な子供の声が、肉の壁にこだます。


「ひらけーーーっ…ゴ…」

「まだ気が済まないのかい? それじゃ出られないよ。」

「むぅー…パパが何でも開ける呪文だって教えてくれたのに…」

胃粘液まみれのボスゴドラを椅子代わりにしているクルスが、氷のように
冷たい言葉を放つ。流石にカイオーガもそれ以上の事はせず、自分が胃底に
沈まないようバンギラスの上に陣取った。


「あと二十分したら僕たち…トロトロプリンになっちゃうよ?」

「プリンにはなれないよ♪
ただこのレウスの血肉となって…永久に生き続けるだけさ。」

「そ、それは嫌かも…」

実際に彼らの座っている周囲には、溶けたポケモンらしき液体が川のように
胃底の隙間に溜まっていた。強力な胃液を頭から被ったのか、上半身が悲惨
な姿のポケモンも転がっている。その焦りを引き起こさせる状況を目の当た
りにし、クルスは脱出策を練っていた。


「で、問題はどうやって外に出るかだけど…二つ思いついたんだ。」

「えっ…出られるの? 成功率は!?」

「10%ぐらい。」

「…低いんだね…かなり…」

カイオーガの期待が風船のように縮んでいくのを見て、クルスは慌てて
その内容を言い出した。確かにどちらも著しく成功しにくい、至難の技だった。

「まず一つ…次に誰か獲物が来るときに、あの穴は必ず緩むよね?
その瞬間を狙って壁を駆けのぼり、穴に突っ込んで食道を逆流するんだ。」

「こ、この壁を駆け上がるの…? こんなに柔らかいのに?」

カイオーガは丁度獲物をマッサージ中の胃壁を、ぷにぷにと押し込んで見せる。
ヌルヌルした胃粘液が染み出し、カイオーガのヒレに取りついた。

「心配はいらないよ…
助走さえつければ僕ならすぐに駆け上れる。君を背中に乗せようか?」

「…その前にもう一個の作戦を聞かせてよ。」

それでも成功率が10%もあることに驚き、カイオーガは次の策を促した。
さっきはクルスが苦労する作戦なのに対し、こちらはカイオーガが主力となる物だった。


「君がうず潮や波乗りで、この胃の中を水で満たすんだ。
そうすればレウスは気持ち悪くなって、僕達をまとめて吐き出すでしょ?」

「…さっきより難しそうだね、それ。」

何しろ千匹以上のポケモンを余裕で封印してしまう広さの胃袋だ。いくら
海の王とはいえ、カイオーガだけでここを水一杯にするのは、桁外れな能力
が必要かもしれない…


「でもそれなら確実に出られるよね……よし、やるよ! 僕!」

「えっ…本当?」

クルスも意外な答えに、思わず腰を引いた。冗談のような作戦を飲んでくれた
カイオーガに、ふっと笑みを浮かべる。


「分かった…!! 頼んだよ。」

「アイアイサー♪」

ヒレを頭の上に置き、カイオーガは敬礼のポーズを決める。時間が切迫している
ためもう雑談は許されず、トロリと消化されるのは時間の問題だった。新鮮かつ
異臭の漂う胃液が、肉壁からじゅぷじゅぷと溢れるように分泌されだす。


「急がなくっちゃ…うりゃぁぁ!!」


<2011/06/02 23:43 ロンギヌス>消しゴム
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