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とある草原にて − 旧・小説投稿所A

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とある草原にて
− 獲物を狙う影 −
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大蛇は、顎を外し、口をペリカンの嘴のように大きく開けた。
そして鹿の顔に近寄り、目をつむり、頭から丸呑みにし始めた。
大蛇の口の中は、異臭が漂っており、血生臭い臭いもぷーんとする。
鹿は、もうほとんど意識がなく、ぼんやりと口の中を見つめていた。
口内の筋肉がぐしゃり…ぐしゃり…と生々しい音を立てていた。
大蛇は、目を細めて、鹿が自分の体内に入ってゆくさまを眺めていた。
鹿の角が、口の中に納まり、体内から出っ張っていた。
鹿は、目に涙を浮かべ、胃袋に飲み込まれてゆく、自身の哀れな姿に絶望した。
一時間がたっただろうか、夕方になり、周りも少しずつ、暗闇に飲み込まれてゆく。
夜の風は、二匹の体を鋭く通り抜けた…。


<2012/05/08 18:08 エヴァンゲリオン弐号機>消しゴム
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