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豪雨の夜に − 旧・小説投稿所A
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豪雨の夜に

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ザァァァァァァーーー
もの凄い豪雨が密林に降りしきる。
・・・スコールと言うやつだろう。
そのスコールは薬草を探していた僕にも降りかかった。
手持ちが無く、店も閉まっていたために、夜遅くにクエストを受け、薬草を取りに来ていた。
「よいしょっ・・・と。」
薬草は十分に見つかったので、重い腰を上げた時だった。
「おい、お前。」
「はいっ?・・・っ!?」
唐突に声をかけられた。ゆっくりと後ろに振り返って、
声を失い、息を飲んだ。
「こんな夜遅くに客人とは・・珍しいものだ。」
「え・・あ・・ぁ・・ク、クシャルダオラ・・・」
クックックッと間抜けな表情の僕を見て面白そうに笑っている。
「っッ・・・」
慌てて後ずさり、武器に手をかけようとするが、体が上手く動かず、武器を持てなかった。
その蒼い竜眼に見据えられただけで体が重圧に耐えられなくなっていた。
「おやおや?どうしたのだ?そんなに強ばって?」
しかし、そんな僕をよそに飛んできた声は恐ろしいものではなかった。
「ハハッ、私が恐いのか?」
プツリと緊張の糸が切れ、ペタリと地面に腰をおろしてしまった。クシャルダオラの罠かもしれないのに。
「運が良かったな。私は今、お前を狩る気にはなれない。
まぁ、お前にその気がないならな。」
僕は慌てて首を横に振った。
「だが、このまま見逃す・・・と、言う訳にはいかんぞ?
私は最近、お前ら人間に少し興味があってな・・」
クシャルダオラがこちらを見据えたまま、周りを回り始める。
「少し・・遊ばせてもらおうか・・」
長い体が巻き付くようにジリジリ近づいてくる。
「ひぃ・・ま、待ってっ・・」
「なに、痛い事はしないさ。大人しくしていればな。」
「えっ・・ちょっ・・た、助けっ・・・」
強靱な前脚で地面に押し倒され、そのまま、上に脚が乗せられた。苦しい・・息が詰まる。
「おっと・・すまん。ちょっと、強いな。」
胸の圧迫が緩くなった。呼吸ができる。
恐らく、この手加減がなければ、ペシャンコだ。
ベロリ・・・・
「ぅひぃ!!」
僕の首筋をピンク色の舌が舐め上げた。
ゾクゾクと寒気が一気に体を駆け上がる。
その反応を見て、またクシャルダオラが笑う。
「フフフフ・・これはどうだ?」
アグッ・・ムグッ・・・・アグアグッ・・
「!!!?」
今度はその首筋に酷く鋭利な牙が突きつけられた。
絶妙に加減されており、皮膚に食い込むだけ。
口内の舌と唾液を感じる。気持ち悪い生暖かさだ。
「あわわわっ・・・・」
まだ、血は出ていないが急所に牙を突き立てられ今にも喰い千切られそうで、本能として暴れてしまう。
「こ、こら!大人しく・・・」
ブッ・・ジワ・・・
大人しくさせようとしたためか牙に力がこもり、皮膚を喰い破り、血が流れ出す。
「うわあぁぁぁぁぁっ!!」
ヒュッ・・・ゴッ!
「がっ・・・」
クシャルダオラが僕の何倍もの質量を持つ前脚を僕の腹に勢い良く振り下ろした。
腹部に凄まじい衝撃を受け、僕は気を失った。

 * * * 

やってしまった・・・・
人間の首からは血がじわりと滲み出ており、気絶していた。鬱陶しかったために手加減したつもりだったがこの結果だ。が、反省はしない。
「取りあえず・・・持って帰るとしよう・・」
遊ぶだけだったのだが・・こんな事になるとは・・・

 * * * 

「ぅん・・・ん・・・」
僕が目を覚ますと、そこは見慣れない場所だった。
腹が痛い。多分、凄まじい痣が出来たと思う。
「起きたか。」
と、溜息を付く何か。
「ひっ!た、助けっ・・・」
「大人しくしていろといっただろう?」
「ひゃあっ!?」
思わず振り返り、さらに悲鳴を上げた。
クシャルダオラの口から血がボタボタと滴っていたのだ。
「ぼ、僕の体っ!た、食べられたっ・・・?」
腕を見た。腕はある。足も、体も。・・全部ある。
「・・・何故、お前を喰わなければいけない?お前の首を咥えていたからだ。止血する為だ。」
言われて気付いた。首に血が止まっていた。
「さて・・お前に一つ聞きたい。答えたら返してやろう。」
「本当?」
「ああ。嘘を付いてどうする。」
「・・そだね。それで?」
僕はその言葉を聞いて背筋が凍った。

ー人間は喰ったら美味いのか?ー

「そ、それは・・つまり・・ぼ、僕を・・・た、食べるつもり・・?」
「ん?駄目か?そのつもりだったんだが・・・」
「だ、駄目!」
再び、クックックッと笑うクシャルダオラ。
まずい、ここから逃げなければ!
「質問には答えたから・・・」
「逃がさんっ!!」
クシャルダオラの反応は速かった。
バサァッと翼を使って、小さく飛び上がると、前脚で僕を簡単に捕まえた。
また、強靱な前脚に下敷きにされてしまった。
「さ、最初からそ、そのつもりで・・・」
「いや・・ここに戻ったらふと思い出してな。前から興味があってな、何時もは鉱物を食べるんだが、たまにはな。」
この時のその笑みはとても冷徹に見えた・・・


<2011/05/13 22:43 セイル>消しゴム
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