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始まり 〜0章〜 − 旧・小説投稿所A

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始まり 〜0章〜

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=普通なら誰もあんな質問には答えないだろう。でも、僕は答えてしまった。答えた僕が悪かった。たったひとつの質問と好奇心だけでこんなことになるなんて………

「で、質問って何。」

僕はぶっきらぼうに謎の生物に話しかけた。そのときには、もう恐怖というものが無かった。ただ、あの質問が奇妙で少し引いた。

『君は世界がひとつだけだと思う?』

「え?」

『だから、君に世界がもう一つあるのかってきいているの。』

「……(なんかとってもめんどくさい性格をしているな。…)」

謎の生物はめんどくさそうに質問をしてきた。
もちろん僕は当たり前のことを答えようとした。


ただ、口が滑ってこう答えてしまった。

「普通にあると思うよ。だって、俺の世界があるんだから!」

『中二病の全盛期だね♪』

言ったとたん急に恥ずかしくなった。顔が赤くなるのが自分でもすぐにわかった。

『ああ、ごめんごめん。わざと言ったわけじゃないから気にしないでね。』

「ああ……わかっているよ。」

『でもね、逆に安心したよ。自分の世界を持っているなんてとっても素敵なことだと思うよ。』

「あ、ありがとう。」

なんだか意外だった。普通の人ならからかわれるかドン引きされるはずなのに褒めてくれた。さっきとは違う意味で顔が赤くなった。なんとなく嬉しくなった。

『じゃあ、もう一つ質問していいかな?これが最後の質問だよ。』

「いいよ、なんでも答えるよ。(まだ一つしか質問していないけど……)」

『君は別の世界に行ってみたいかい?』

「えっ、それって別の世界に行けるってことなのか?」

『君の答えしだいでね。』

「……(本当になのか。)」

さっきから奇妙なことばかり聞いてくると思っていたが、ここまで奇妙な話はないと思った。まず第一に確証がない。なにか相手のことがわかることがあればいいのだが。

「ねえ。(こうなったら直接聞くしかない)」

『なんだい?』

「どうやったらその世界にいけるんだ?それとお前は一体何者だ?」

『……最初の質問はこの電車で別の世界に行く。次の質問には答えることができない。』

やっぱりなにかを隠している。すぐにそう思った。

「なんで教えられないだ?姿だけでも見せてくれないと幽霊と話しているような気分になるんだ。万が一、別の世界が地獄ならば行くのはゴメンだからね。」

『地獄に行くわけじゃないよ。単に別の世界なだけだよ。』

今わかったことがあった。今まで相手が答えてきたことも質問してきたことも、両方ともあまりにも抽象的すぎてよく考えたら答えになっていなかった。具体的なことを言っておらず、質問も答えも少なく相手に情報を与えないようにしている。

「具体的にどんな世界があるんだ?」

『質問が多い子だね、例えば……』

バサっ

僕は息を飲んだ。そして目を凝らした。なぜなら、相手がまとっていたベールを脱いで姿を現したからだ。

『例えばこんな生物が住んでいる世界だよ。』

「!!!!(これは現実なのか)」

僕の目が確かならば、今目の前にいるのはポケモンに出てくる精霊ポケモンの{フライゴン}だった。

『これで分かったかな?別の世界に行けるってことが。』

「ああ……やっとわかったよ。」

『じゃあ、答えは?』

フライゴンは目を輝かせながら僕に聞いてきた。

「もちろん、いくとも。(断りづらいな…)」

実際、一度はポケモンの世界に行ってみたいと思っていた。でも、まさか本当に行けるなんて思っても見なかった。

『じゃあ、この電車に乗ってね♪その乗車券をもってきてね。』

僕は赤い乗車券と空っぽのバックを持ってをもってフライゴンと一緒に列車に乗り込んだ。

しばらくすると、駅のアナウンスが聞こえた。

『一番線、ドアが締まります。ご注意ください。』

レッドトレインのドアが静かにしまって、ゆっくりと動き出した。
そして、不思議な列車はホームを去った。

『ピピピピピピピピピピ』

誰もいないホームにはうるさく防犯ブザーがなっているだけだった。



《データ》

??? 種族 フライゴン ? ? 階級 ?
データ不明

《わからないところ》

乗車券…竜太のバックの中に入っていた赤い乗車券。これでレッドトレインに乗れる。

防犯ブザー…竜太が常備していた防犯ブザー。
<2013/03/05 22:12 名も無き竜>
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