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アニヲタ君とアイドルちゃん − 旧・小説投稿所A
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アニヲタ君とアイドルちゃん

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そして、100m走と60mハードル走と1500m走が終わった。

さて、『頑張る』と言った冬夜だが、その状況はかなり悪かった。

「…まさか……同じ人と二回走る事になるとは…」

100m走と60mハードル走はくじで六人組を作るのだが、冬夜は同じ人と二回走り、二回とも負けているのだ。

しかし、冬夜の運動神経が悪い訳では無い。
その人が尋常じゃなく速いのだ。

「…とにかく、ここで踏ん張らないとな!」

まるで自分を奮い立たせるように叫び、スタートラインに立つ。

1500m走と障害物競争は、全員で走るが、点数配分は変わらない。
確かに、踏ん張りどころだ。

「ここで一位が決まるんでしょうか?」
「何はともあれ、頑張って下さい!」
「それでは…よーい…」
「「ドン!」」

二人の元気な声に弾かれたように全員が走り出す。

が、その中で群を抜いていたのが二人。

冬夜とその人だった。
冬夜の方が少し遅れているが、まだ追い付ける距離だ。

最初に待ち構えていたネットを、二人はそれまでとほぼ同じ速さで潜り抜けた。

そしてすぐに冬夜がこれまで以上に加速し、その人もそれに合わせるように加速する。

障害物競争は、完全に二人が主役になっていた。


平均台や起伏の激しい道などを越えて、先にゴールテープを切ったのは、冬夜ではなく、相手だった。
その差、僅か0.5秒。
本当に少しの差だが、負けは負けだ。

「なんと!ここで一位が決まってしまいました!」
「神崎さん!おめでとうございます!」

神崎と呼ばれた冬夜と走っていた人は、嬉しそうに両手を上げた。

「それでは、一度休憩になります!」
「最後まで、頑張って下さい!」

二人がそう言い、カメラが一時停止する。

すると、冬夜は神崎に近寄り、

「おめでとうございます」

と穏やかな声で伝え、神崎から離れた。

その姿を陰から見詰める怪しい人影にに、冬夜は気付く事が出来なかった。


読んで下さって、ありがとうございました!
<2013/01/18 21:23 ラムネ>
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