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魔女にかかれば − 旧・小説投稿所A

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魔女にかかれば

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目映い太陽の光が目に染みる。気分はいつになく爽やかで清々しかった。
まるで心の中の重りが消えてしまったかのように。

草原は森とは違い、辺りに高い木々は見当たらない。その為かなり遠くまで見渡すことができる。
どこからか流れてきた風が髪をなびかせた。

カレンは特に気にするわけでもなく、その風に任せることにしたのだった。

森の住居を離れて数日。カレンとシャドウはどこまでも続きそうなほどに広い草原の中を歩いていた。

先日の騒ぎのせいで、あの地域にいるのには無理があると考えてのことだった。
不思議と後悔の念はない。寂しくもなかった。
ただ、唯一残念なことと言えば、トレゾアにこの事を伝えられなかったこと。

せっかく知り合いになれたというのに、これではまた会える可能性はまず間違いなく減ってしまう。

それでも、決してゼロというわけではないから。
そう思った。ましては彼女は本物の魔女だ。カレンたちの居場所ぐらい、簡単に見つけられるような気がする。

背中に悪寒が走った。それはいい意味でもあるし、悪い意味でもある。

「お嬢、大丈夫ですか?」

いち早くカレンの震えに気がつくシャドウ。間違いなく今回の事で二人の信頼が深まったことであろう。

一時的に話が伝わらなくなったことが、まるで嘘のようだった。
それもこれも、みんなトレゾアのお陰である。

「大丈夫よ、シャドウは大丈夫?」

「私の傷の事ならお気になさらずに。それよりもお嬢、あなたの魔力が安定するまで私は気が抜けませんよ」

そう。これが玉に傷と言ったところだろうか。
トレゾアの魔法で注がれた魔力。
クォーターとは違った純血の魔女の魔力はカレンにとって、予期せぬ反動が起きる可能性がある。

なにせ、魔導書の終わりの端に書いてあるだけのやり方なのだ。当然事故もあり得る。

「まぁでもトレゾアのお陰で、こうしてあなたと会話ができるのだから……」

「あの女、私は好きません」

むすっとした顔をして、シャドウは視線を前に戻す。
カレンはそんな彼の頭を撫でた。

「さて、これからどうしようかしら」

「行き先がないのなら、まずは街に行きませんか? まだ噂が回っていない遠い街とか……」

「そうね、そうしましょう。何回野宿しなくてはいけないかしらね」

お互い顔を見合わせてふふっと笑う。
まだまだ旅は始まったばかり。
何が起こるかなんて誰にもわからない。
それは魔女でも同じ

空は相変わらず澄んでいる。
上を見上げて深呼吸をすれば、確かにそこに空気があった。


これにて、完結です。
色々な方に支えられた作品でした。
合作を快く受け入れてくれたどんぐり様。
ここまで読んでいただいた読者の皆様。
そして何より、このサイトを作っていただいたケイル様に感謝します。
本当にありがとうございました(≧∇≦)
また次の作品で会いましょう♪
<2012/12/03 21:23 ミカ×どんぐり>
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