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魔女にかかれば − 旧・小説投稿所A

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魔女にかかれば

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「お嬢ちゃん、北の森の魔女って知ってるかい?」

慣れた手つきでチーズを切り分け、それを天秤にかけて重さを計測しながら、店の主人はそんなことを言った。
針はまだ少し揺れている。

「最近、いろんな人からその話を聞くわ」

そう答えたのは、年がまだ十代半ばであろう少女だった。

「そうかい。だったら気を付けるといい。君みたいな可愛らしい女の子だと、魔女に拐われてもおかしくないからね」

「うふ、お上手ね」

主人はそんなことを言いつつも、仕事はしっかりとこなしていた。
ぴたりと止まった針を確認すると、主人は手早くチーズを袋に入れて彼女に手渡した。

「いくらかしら?」

「四シルクと五十三ペーヌでいいよ」

「随分と安くしてくれるのね」

少女は懐から小さな袋を取りだし、中から綺麗な銀貨を出した。

「お釣りはいらないわ」と言って、彼女は外に出た。
入り口の扉についた鈴の音も、街の活気に満ちた雰囲気に呑まれてしまう。

もう少し静かな方が好みだと思いながら少女はフードを深く被った。
噂は早くも街に広がりつつある。
これ以上用がないのなら、手早く去った方がいいだろう。

チーズの入った袋を握りしめて、少女は足早にその場を立ち去ったのだった。


ミカ→どんぐりでいきますw
<2012/11/11 19:19 ミカ×どんぐり>
消しゴム
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