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鏡 − 旧・小説投稿所A

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− ものたち −
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「・・・王女は逃がしてもいいか・・・逃げたいものは逃げるがいい!今なら逃れるチャンスはあるはずだ!」

「ヘリオス殿・・・それは、しかし・・・」

「この王宮はもう終わりだ・・・自分の命を大事にしろ」

「・・・闘う意志のある者は俺に続け!それ以外は、裏から逃げるんだ!」

効果はあったな。
・・・これで、事実上残るのは俺だけだ。
革命軍・・・早く来なくては、悪逆非道の王は死ぬぞ。
信じ頼った者に・・・裏切られて、死ぬ・・・。

「・・・!?・・・アイツは・・・そうか」

アイツはそこまであの王女が大事なのか。
しかし、今からやることは多分違うな。
ウガビア・パルシフア・サンルフ王女のためではなく、自らの欲望のためだ。

昔の友に似ているな。
ダイケンキ・D・パキア・・・傲慢の王女とともに居ればよかったものを・・・強欲は、身を滅ぼすだけだぞ・・・。

「さぁ・・・始めようか」



















「皆!ここを落とせば、勝ちは当然よ!」
「「「おおおお!」」」

耳障りだ・・・。
私は・・・そんな声は聞きたくない。
私が求めるのは、苦痛の叫びから醸し出す不協和音。
こんな、一致団結した唄など・・・私は、いらない。

「待てよ・・・皆、止まって!」

女は止まった。
もう少しで確実に殺せる範囲だというのに・・・。
しかし、いいか。
女が指揮を執っているから、あの女が革命軍のリーダー。
あの女さえ殺せば・・・。

「・・・やっぱり、居たのね。情報どおり、貴方は残ったのね」
「グラン・・・まさか、あいつが」
「えぇ・・・彼の言ってた、【Most dangerous opponent】・・・王女のナイトよ」

彼?
召し使いで革命軍に情報を漏らしていたのは小娘だ。
他にも・・・まさか、あの男か!?
否・・・しかし、王宮内の者を逃がすなど・・・それが、目的か。

「出てきなさい!多勢に無勢・・・勝ち目は無いわ!」

くだらない。
私には、幾らの兵が現れようとも・・・ん?
視界が・・・眩む。
体が・・・動かない・・・しびれているのか?
違う・・・そうか。
あの男は遅行性の【Gift】を・・・呑ませていたのか。

ウガビア・・・すまない。
お前のための国・・・護れなかった。
まさかとは思うが、お前も・・・同じ道を辿らないよな?
あの男は・・・何を目的に、この王宮を・・・。

駄目だ。
思考回路が・・・停止してきている。
眠くもなってきた。
ウガビア・・・もし、もう一度会えるのなら・・・。

『また・・・海に行こうな・・・』



















「・・・これは・・・」
「グラン・・・死んでいるようだが・・・」
「えぇ・・・だけど、外傷が無いのよ」
「だとしたら・・・自殺か?」
「いえ・・・さっきまでは、確かに闘う意志はあったのよ。だけど・・・後にしましょう」

私は王宮内に進んでいく。
王宮の兵士はほとんど逃げ腰だった。
闘う意志が無いのなら、ほっておけばいい。

「あれ?・・・何時からここに居たのびっくり?」
「・・・何時から?・・・ずっとさ。俺は、王宮にずっと居た」
「キッド・・・貴方は何者なの?」
「それよりも・・・王は、この奥で俺らの勝利を望んでいるぞ」

彼言葉の意図が分からなかった。
彼の職業は商人だったはず。
それなのに、彼は王宮に居て、しかも最初から居たという。
それに加え、王が俺らの勝利を望む・・・彼は、何を言っているの?

「グラン・・・こいつは敵だ。今まで分からなかったが、こいつはこの王宮の軍師・・・ヘリオス・マツガだぞ」
「ヘリオス?・・・ちょっと待って!ヘリオスって・・・」
「俺はもう去る。ものは返してもらったし、用はないからな」
「ヘリオスなの!?・・・待って!・・・」

ヘリオス・マツガ・・・私の友人。
何で、今まで分からなかったのよ。
気がついていれば・・・もっと、話ができたはずなのに・・・。
何で、私をおいていくのよ。
私は、貴方が・・・。

「グラン・・・ほら」
「・・・えぇ・・・私達の勝利ね・・・」
「皆に伝えろ」

「この革命に参加し者に告げる!・・・この、闘い・・・我々レジスタンスの勝利だ!」

勝利をたたえる歓声が響き渡る。
私は泣いた。
他のみんなも泣いた。
私は泣いた。
勝利に・・・。
私は泣いた。
悲しみに・・・。


ちゃんとした時系列を考えないと・・・。ww
次で「鏡」は完結ww
<2013/02/12 22:40 ヘリオス>
消しゴム
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