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「・・・これで・・・揃ったんだ」

ここは・・・どこだろうか？
彼は・・・誰だろうか？
何が・・・揃ったのだろうか？

「強欲の器・・・奪われる前に奪う、それは・・・正義だ」

彼は角が丸い四角いの箱を手に持ち、呟く。
強欲・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「色欲の器・・・心と体を慰める、それは・・・正義だ」

彼は次に細長い箱を手に持ち、呟く。
色欲・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「憤怒の器・・・殺られるなら殺れ、それは・・・正義だ」

彼は小さな箱を手に取り、呟く。
憤怒・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「傲慢の器・・・全てを統一する、それは・・・正義だ」

彼は次に直方体の箱を両手で持ち、呟く。
傲慢・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「嫉妬の器・・・恨みを晴らす、それは・・・正義だ」

彼は次に筒状の箱を手に持ち、呟く。
嫉妬・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「怠惰の器・・・壊れたように笑う、それは・・・正義だ」

彼は次に立方体の箱を手に持ち、呟く。
怠惰・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

「暴食の器・・・残っているご馳走を食べる、それは・・・正義だ・・・そうだろ？」

彼は最後に、豪華な箱を両手で大事そうに抱え、呟く。
暴食・・・器・・・正義。
これらは、何を示しているのだろうか？

七回出てきた【正義】と、いう言葉。
これが、何を示すのかはわからない。
しかし・・・彼が身を覆うために羽織っているロングコートは・・・灰色の輝きを薄く放つ。
勿論、彼は気づいていない。

「・・・希望は・・・持つな」

彼は、土が入っただけの橙色の鉢に視線を向けて、不意に呟く。
その鉢の形は、特に特徴は無い。
ただ、丸いだけの・・・。

「・・・相手を・・・信じるな」

彼は貝のシールで封をされた一通の手紙に視線を向けて不意に呟く。
その手紙には、他に変わった点は無い。
一回も開封されていないとこ以外は・・・。

「・・・俺が求めるのは・・・家族だけだ・・・

家族を求める・・・家族の愛を求める・・・家族に怒る・・・家族を思い通りに・・・家族を恨む・・・家族を幸せに・・・家族と食べる・・・正義のままに・・・全てを・・・」

そういって、彼は泣いていた。

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