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君と見た空 − 旧・小説投稿所A

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君と見た空

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_____い、いやだ・・・

虫の鳴くような声が、カイオーガの口から飛び出した。
ギラティナは力でも金でも実現できない願いを拒まれ、
死んだように硬直する。

「ハァ…ハァ…はぁ…ハァ…ハァ…!!」

「えっ…嘘…」

理性を奪われた野獣のように、不規則で荒々し
い呼吸を続けるギラティナ。しかしカイオーガ
の目が視ていたのは、彼の失われたはずの翼の
方だった。
不気味極まりない形を催しながら、二代目の黒
翼が生え・・アルセウスと争う前の、カイオー
ガを乗せたのと同じ翼が、また彼の肩から伸び
出ていた。





「ねぇ分かってよ…お願いだからさぁ…!!」

しかし無残にも、カイオーガの頼みは受け付け
て貰えなかった。ギラティナは地を蹴って飛び
上がり、憎らしい程に明るい満月を背に空に舞う。
怒りに溺れた真っ赤な瞳は、まさにあの世の
鬼神…そのものだった。

「お前が私のものにならないならば……私は…!!!!」

月の逆光に怯んだカイオーガ。ギラティナは
その隙を逃さずに急降下し、勢いに乗せて飛びかかった。
オリジンフォルムへ変化して生えた6本の
触手が、カイオーガに蛇のように巻き付いて離さない。
気持ちを理解して欲しい・・
ただそれだけを胸に、ギラティナはぐっと顔を突きつけた。

「反転世界も魂も全てくれてやる…だから…」

「は…離してよっ…!!!」

ヒレで触手の拘束を振りほどき、カイオーガは
後ろへと逃げるように跳んだ。そして再び振り
返ったとき、波導弾を口にためるギラティナの姿があった。

ビュゥゥウウ……ドゥン!!


無条件に撃ち出された、強力なブルーの波導弾。炎
とも光とも言えないそれは、狙い違わずカイオーガ
へと直進していった。

「…っ…なんで闘うの… !?」

カイオーガは会得したばかりのエスパーで、
海水を自分の前に盾として広げた。向かってき
た波導弾はそれに当たると、威力を失って消えた。



「…………くっ…」

沈黙の後・・
ギラティナは歯を噛みしめながら、さっと背を
向けた。カイオーガは最後に見えた彼の目が、
濡れたようにキラキラと輝いている気がした。


「もういい……お前はロンギヌスを選んだ…それで満足だろうな…」

「ち…ちがう!! 何言ってるの…」

「さよならだ…お前との友達ごっこ、楽しかったよ」

「そ、そんな酷いこと言わないで!! 話ちゃんと聞い…」

ビュウウゥゥ…!!!


一瞬だった。
シャドーダイブでギラティナは姿を眩ませ、
消えるようにその場から去る。
波の押し寄せる音が、普段より大きく、そして淋しく鳴く。



ザァァァアアアア・・

「う……あああああああああああああああ
ああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaahhhhhhh !!!!!!!!!!!!


耐え切れず、天を仰いで哭泣する。
自分は友としての価値はあったのか、決断は間違いだったのか。
不安と後悔と絶望に駆られ、カイオーガは海に身を投げた。

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<2011/05/15 16:18 ロンギヌス>消しゴム
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