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ゴクッと日常 − 旧・小説投稿所A
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ゴクッと日常

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あなたは恐竜と竜の違いを、正確に言い述べる事ができますか?

恐竜とは白亜期〜ジュラ期にかけて地球上を支配していた、ご存知の通り実在した生き物です。

原因不明の絶滅を起こしたものの、それらは化石となって確かな証拠を今に伝えています。

一方竜…すなわちドラゴンについてはどうでしょうか?現存する資料には全くと言っていい程に証拠が無く、伝説にしか記されていない、いわば架空の生物となるでしょう。

とは言うものの、世界には知られざる謎が星の数ほど存在しています。今から人類未開のドラゴンの謎を、一緒に紐解いていきましょう…

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「なるほどねぇー…結構面白そうな本じゃん」

新品の本を片手にし、椅子を45度に傾けて座る一人の青年……ロンギヌスは、小鳥のさえずる朝の時間を読書で過ごそうとしていた。温かいココアに満ちたカップを持ち上げ、本日最初のティータイムを…


ガチャッ…!! ジュッ…

「だあああああああっ!!!! 熱いってのこのボケナスがあああっ!!」

流石に椅子を傾けた状態では無理があったのか、ココアは彼の指を滑り落ち、薄着の服に濃い染みを作り上げた。
さらに不幸な事に椅子がグラッと揺れ、ロンギヌスはココアを服に染み込ませたまま後ろ向きに倒れかかった。悲鳴を上げる間も無く…


「(ぎゃあああぁぁ…!!)」

ぽふっ…♪

「ん…あれ…?」

背中に広がる柔らかい感触。マシュマロの海に仰向けに倒れたような、頭を背後から抱きしめられたような…

まさかと思いきや、ロンギヌスは不安定な姿勢のまま上を見上げた。赤いクリクリとした瞳が、陽気な視線を彼に送りつける。


「おはようマスター♪ 今日は早いのね?」

「レムリア…あ、ありがとう」

「どういたしまして。ふふ…本はきちんとした姿勢で読みなさい? 」

「は、はい…」

レムリアのふっくらしたお腹にもたれるのを止め、ロンギヌスは軽い注意を受けてしまった。椅子をガタンと元の位置に戻す。


「珍しいわね朝から読書するなんて…何ていう本?」

「「歴史上の生物-未確認の珍獣たち」っていうんだけど…ドラゴンの存在についても語ってくれるみたいだ」

ロンギヌスはタオルでココアが染み付いた部分を叩く。取れない染みになるのを恐れながら、ふと興味深そうに表紙を見つめるレムリアの方を向いた。


「(そういやこいつもドラゴンか…世間が知ったら大騒ぎだろうな…)」

以前あったとある事件を思い出す。彼女は竜族の中でも絶対的に数が少ない貴重種で、その情報を知った団体が保護という名目で捕らえようとしたのだ。一応カイオーガがとある脅迫をかけたため、世間にそれが知られる事は無いだろうが…



ピシュゥン…!!

「ふ〜スッキリしたぁ〜♪ お風呂は命の洗濯ってホントだねっ」

噂をすれば何とやら。朝風呂でその「命の洗濯」とやらを終えたカイオーガが、巨大タオルを頭に掛けて入ってきた。ルンルンと元気な素振りで、座りしロンギヌスの膝へと身を置く。

「マスター入らないの? 気持ちいいよ〜♪」

「おっ…重いって…!! 降り…t…」

大腿骨が粉砕する寸前で、カイオーガはピョンと膝の上から飛び降りた。いつもは3m程の大きさで過ごしているが、今日は珍しく1m姿だ。しかし重さは変わらない。


「おはようカイオーガ…今日何か予定があったのよねぇ…?」

「えへへー…お買い物でしょ? マスターの…」

「な、何だよお前らその目は…!! 言っとくけど今回は連れて行っていったりなん…か…」

赤く甘えるような瞳が、彼を下から見上げていた。背中にむにゅっと押し当てられる白いお腹の爆発的効果も相まって、ロンギヌスは僅か3秒でOKサインを出した。二匹の小悪魔が、勝利のハイタッチを鳴らす。



「(はぁーっ…何で俺ってこんなにチョロいんだろ…)」


<2011/05/15 16:02 ロンギヌス>消しゴム
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