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暗翳の空 解き放たれし竜 − 旧・小説投稿所A

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暗翳の空 解き放たれし竜
− 闇に放たれる −
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〔イスト視点〕



「何って、食べるんだよ?」

「は?俺を食うだと!?ふざけんな!」

もう投げやりな態度しか取れない。
適わぬ相手に戦意はどこかへ消え去ってしまっていたのだ。

「そのような言い方をしてもいいのかな?」

「お、俺はこの国を乗っ取るんだ!」

「ククッ 貴様の野望など叶うはずがない。我に殺されるのだからな!」

そう言うと、目の前でグパァと巨口を開いた。
むわっと腥い空気がかかり、思わず手で鼻を覆った。
ちらと口の中を見ると、口の中で無数の透明な糸が引いており、その傍らではグチュグチュと不快な音を立てながら巨大な舌が蠢いていた。
自分も今からそこに入るのか、ふざけるんじゃない!
しかし、そのような事を言ってしまえば即死。

俺は俯いきながらこう言った。
「すまなかった…全部俺が悪いんだ。俺があんなこと考えなかったら…」

申し訳なさそうに上を向くと、あいつは何やら考え込んでいた。
もしかしたら、このまま謝れば許してもらえるのではないか。
昔のクオールの姿を思い出し、一筋の光が見えていた。

「すまない!…クオールのこと、誤解してたんだ。クオールがそのような事で悩んでいるなんて考えていなかったんだ。俺が悪い!」

「土下座…」

「ど、土下座すればいいのか?」
あいつがそう言ったから、それをすれば許してもらえるのではないか。
あいつに向かってこんな事をするなど思ってもみなかった。
だが、自分の命の為だ。仕方がない。

「すまなかった!クオール!!」

俺は精一杯土下座をした。





「許してやる。」

「ほ、本当か?」
嬉しそうな顔をして上を見上げる。
俺の中では、光が現実となっていた。








「と言うと思ったのか?」

「え?」

一瞬見えた光が遠ざかっていく…

「我が怒りはどのようなものか知らないだろ?」

「な…」

再び俺は闇に落とされた。
そしてまた絶望と恐怖に支配される。

「謝って許せるのなら、わざわざこのような姿になってまで復讐しないだろう?」

「…」
言葉が出ない。
あいつは本気で俺を食い殺すつもりに違いない。

嫌だ…まだ死にたくない!


「貴様をどのように喰ってやろうか悩んでいたんだ。
最大の苦しみを与えるにはどうすれば良いか、とな。」

あいつはそう言いながら、俺を素早く尻尾で巻きつけて高く持ち上げると、
上を向いてグパァと口を開いた。

「や、やめろぉぉ〜〜!!」

尻尾の拘束が緩み、俺はそのまま自然落下した。
口に入る直前、先程の腥い臭いが強烈に鼻についた。
空気を掴むという無意味な抵抗は、あまりに虚しすぎた。


バクッ


暗い空間に一人、放たれた。


クククッ クククッ

あいつの笑い声が口内を響き渡る。
その声に俺は体を震わせていた。

震えること以外に何もできない俺は、いとも簡単に舌に巻き取られる。
その舌の先は俺の顔にへばりついた。
見事的確に鼻と口を押さえられて、呼吸できない。

離せ、苦しい!

もう少しで意識が飛んでいくところで拘束から解放された。
そして生温かくて腥いあいつの息を貪る。
その時、息つく暇もなくまた舌が俺から空気を奪う。
既に俺の目には涙が浮かんでいたが、それもあいつのネバネバした唾液によってかき消される。
そしてその唾液が時折口に入り、飲み込んでしまう。
後味の悪さと喉にへばりつく感覚が耐えられない。

それを数十回と繰り返され、既に精神的にボロボロであった。

「もういいだろ…」

「ククッ まだまだだ。我の怒りは収まらぬ!」

俺はうつ伏せ状態で、足だけ外に出させられた。
上半身は舌できつく縛られており、息をするのも苦しい。
そうして上から牙が襲いかかってくる。
自分はうつ伏せ状態なので全く見えない。
見えないという恐怖が襲う。

「うわぁぁぁ〜〜〜!!」

鋭い痛みが走る。
思わず俺は悲鳴を上げてしまう。
見えないが、それは俺の肌の奥まで貫いているようだ…
鉄の臭いが漂い始める…その臭いの発生源は間違いなく俺だ。

「なるほど、これが血の味か…」

ゴクッ

血を飲み込む音が口内に響く。
傷口に唾液が滲みて痛みは増すばかりである。
痛みと恐怖に打ち勝つことはできる筈もなく、顔をくしゃくしゃにしながら泣いていた。

その後はされるがままに舌に遊ばれ、牙に弄ばれ、…
既に満身創痍の俺は、抵抗することさえできなかった。
傷は数十か所、骨も十数本は折れているだろう。
そんな事を冷静に考えると、何もかもへの無気力感が覆うばかりだ。
いや、生に対しては無気力ではなく、ただ“生きたい”という希望だけは持ち続けていた。

泣きじゃくりながら、俺は竜に懇願した。

「出してくれ、お願いだ!!」

「黙れ!…僕を散々苦しめたくせに!!」

「そ、それで人を殺していい理由にはならない!」

この状況下でもこんな綺麗事が出てくる。
人間崖っぷちに立たされれば、何とでもなるもなのか…。
舌の動きが止まり、しばしの休みが得られた。

「要するに、死にたくないのか?」

「…ああ、もちろんだ。」

「ククッ その願いは叶うだろう。」

自分は死なずに済むかもしれない。
それだけで嬉しかった。







「だがな、貴様には永遠に苦しんでもらう。

一生我の胃の中で暮らすのだ。

…衰弱死するまでな。」


すると、口内が傾きだした。
このまま呑み込むのか!?

「止めろ!クオール!!」

つるつる滑る舌の上ではどうすることもできない。
ついに、足から柔らかい喉肉に吸い込まれていく。
「助け…」
足だけでなく腰、肩、そして頭まで、喉肉の餌食となった。
喉肉は体にぴったりとくっつき、息一つできない。

ゴクンッ

ヌチヌチ…ドスッ

頭がボーッとしてきたとき、漸く喉肉から解放された。
空気を貪ろうとすると、腥さに加えて酸のきつい臭いが鼻をつく。
「ゲホッゲホッ…」
その臭いに咽た。

あいつが言っていた言葉が本当なら、ここで一生暮らさなければならない。
そんなの御免だ。
と思っていると、凭れていた胃壁がずぶずぶと体を取り込んでいく。
「な、何だ!?」
気付くのが遅かったようで、体が胃壁の中に入り込んでしまっていた。

「だ、出してくれ!」

痛みに耐えながら泣き叫ぶ。

恐怖に耐えながら泣き叫ぶ。

後悔しながら泣き叫ぶ。

反省しながら泣き叫ぶ。



「出さぬ。一生な。 クククッ」



今、俺の心には“絶望”という文字しかない。


どうやら俺は一生ここで暮らさなければならないらしい。
どれほどの屈辱か…
あいつのことを消そうと思ってした事が、まさか自分が消される事になるとは思ってもみなかった。

だが、いくら後悔したとしても、目の前にはねっとりとした胃液に覆われた胃壁のみがあるばかりなのだ。



2500字超えっていうwww
真夜中に調子乗って書いたのだw(`・ω・´)w

(イストもクオールも羨ましいっwww)
<2012/11/02 16:06 長引×どんぐり>
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