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暗翳の空 解き放たれし竜 − 旧・小説投稿所A

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暗翳の空 解き放たれし竜
− 希望の目覚め、絶望の淵 −
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遂に復讐をすることができた。
荒れた町を見下ろしていた。
町は4分の1ほど崩壊しており、城は原形すら留めていなかった。
今までに感じたことのない快感が、新たな躯を駆け抜ける。
生き物を喰らう、なんと楽しいことか!
これが野生というものなのか!…

そう思いながら口に付いた血を舐めとると、紫竜の方へと向き直った。
「ありがとう、お陰で復讐を果たすことができた。」
「礼を言うのは私の方だ。お前が居なければ、あの透明な檻の中で一生暮らしていただろうからな…。」
「さて、行こうか。」
二匹の竜は、絶望に包まれた町を後にした。



「昔はよくこの森に人間が通ってな…」
湖に向かう途中、彼女が懐かしそうに呟いた。
「人間が?」
「あぁ、そうだ。」
それから、ぽつりぽつりと昔のことを話し始めた。



殆どの人間は私の姿を見るなり逃げる。
私はたまにそういう人間を喰らうからだ。
週に一回程度の贅沢な食事という感覚だった。
そのような人間の敵である私に、ある日一人の青年が近づいてきた。
名はクラストといった。
私に恐れを抱かず、彼は歩み寄って来る。
そして、私に様々な事を聞かせてくれたのだ。
私もそんな彼に自分の事を少しばかり話した。
自分の事を人間に話したのはこれが最初で最後だった。

そんなある時、青年が湖に来なくなった。
その代わりに、麓の国の兵が来た。

「湖の周囲に結界を張った。お前はもう外に出られない。」

ただの戯言かと思ったが、少し歩くと、何かにぶつかった。
いや、そこには何もない。
嘘だ、そんな馬鹿な!!
私は閉じ込められたというのか!?

もちろんそれ以来、あの青年はこの湖に来なくなった。
私はいつも湖から顔を出していた。



そこで紫竜の話は終わった。
話し終えた彼女の顔には、辛そうな表情が浮かべられている。

我の胸にも、その辛さが伝わってきた。

「そんな事が…」
「それ以来ずっと私は人間に騙され続けていたのだ。」

話をしているうちに、湖へと辿り着いた。
大きくドスンと音を立てて湖岸に降り立った。

「…もう昔の事は捨てよう。昔のことを抱え続けても何も変わりやしない。
これからが大事なのだ、これからが…」
紫竜はゆっくりと頷いた。
紫竜は顔を上げ、黄色い眼はしっかりと我を見据えていた。


「お前はこれからどうするのだ?」
「わ、我はお前と一緒に居たいのだが…駄目か?」
この様な事を言うのは恥ずかしいが、それを堪えて言ってみた。

「…い、嫌だ。」
紫竜は背を向けた。
「わ、私は一人の方が…」


我は後ろから、紫竜に抱きついた。

「強がるな。寂しかったのだろう?」

彼女がハッと息を呑む音が聞こえた。


寂しくない筈がない。
紫竜は、湖からずっと出られずに、孤独に過ごしてきたのだ。
我とて、人間の頃は人から叩かれ蹴られ暴言を浴びせられ…
一人の方が気は楽であったが、それでもふと寂しく思ってしまうものなのだ。
我には紫竜の気持ちが痛いほど分かるのだ。

我は、彼女の傍に寄り添って時を過ごしたい。


「我は貴方と共に生きたいのだ。」






























〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その日から数ヶ月経った。
ベーシンロー王国は、外見は元通りに戻ったが、住人は日々怯えていた。
毎週金曜日に、やって来るのだ。


今日、赤き竜はこう言った。

「今日から生贄を3人に増やす。新たな命の為にな。
嫌とは言わせぬぞ。貴様らに決定権は無いのだからな。」


憐れな国は、今日も生贄を差し出すのだった…




[終]



ついに完結しました!!(ヤッタネww
読んでくださり、ありがとうございました!!!

合作は楽しいねwww
また機会があればしたいな(≧▽≦)www
<2012/11/09 16:53 長引×どんぐり>
消しゴム
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