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後ろの正面だあれ − 旧・小説投稿所A

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後ろの正面だあれ

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「(遠いな…どこまでいくんだろ。)」

ツタージャはロッジから相当離れたにも関わらず、依然として歩くのをやめなかった。カイオーガは病み上がりとは思えない俊敏さで、彼女の視線をかいくぐっていた。



スタ…

突然…ツタージャの足が止まる。気づかれたと思ったカイオーガは身を潜め、草影から様子を伺った。何かを探すように、キョロキョロと辺りを見回している……その姿が獲物を探すときの自分そっくりだったので、カイオーガはぎょっとした。

「(なにやってるのかな…?)」

そんな疑問が頭をよぎった次の瞬間…本当に、一瞬の出来事だった。




ツタージャの面前にある草むらから一匹のシキジカが出てくる。シキジカは体に付いた草を払う間もなく、ツタージャに組み伏せられてしまった。

「(えっ…!?)」

その動きが余りに敏速だったのか、カイオーガはゴシゴシと目をこする。しかし相変わらず視界には、無表情に押さえつけているツタージャと、脚を変な方向へと曲げられたシキジカしか映らなかった。

「うっ…な、なんだよいきなり…イタタ…!!」

「……」

ギリギリとシキジカの関節が唸らせて、ツタージャはゆっくり…口を大きめに開きだす。


「え…えええっ…!?や、やめろ…」

シキジカは自分の足が啣えられるのを、ヒステリックな表情で見つめていた。お互い同じぐらいの大きさ…丸呑みもできなくはない。

「うああっ…い、やだ…助けてぇ…!!」

ツタージャがシキジカの体ごと持ち上げ、あぐあぐと小さな顎を動かす。悲鳴に混じって、唾液の塗りつけられる音すらも漏れ聞こえていた…


ニチャ…ンチュ…ハァグ…ン…ジュリュ…

「うああ…あっ…なんで…」

ツタージャの小さな舌が身体を這い回し、喉の奥深くへ落とそうとしている…もはやシキジカは地面に垂直にされ、重力通りに下がっていく。

そしてシキジカの耳らしきものが、口内へと消えたその時…






ごきゅり…んぷぅ…

ぽこっと大きく膨らむツタージャのお腹…抵抗の無意味さが、その動き具合から見て分かる。


<2011/05/15 15:43 ロンギヌス>消しゴム
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