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後ろの正面だあれ − 旧・小説投稿所A
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後ろの正面だあれ

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ごきゅ…ごきゅ…グボォ…どちゃっ…!!

「う、うわああっ!!」

坂本は舌袋へと通じる肉管を逆流させられ、あっという間に柔らかい草花の上へと吐き出される。

「く、くそっ…荒っぽいことしやがって…」

「だめだよ逃げたりしちゃ…君にはいろいろ聞きたいんだ。」

紅い紋様が描かれた巨大なヒレに、突如後ろから掴みかかられる坂本。今まで食べられていたせいか、無意識に大人しくなっていた。

「…あら。これがさっき凍ってた人?」

「…美味しそう…」

「へへ…とっとと喰わせてくれ。」

唾液まみれの視界に、更に3人の捕食者が映り込む。

ふーんとしか思ってなさそうな顔のレムリア。無理なのにも関わらず涎を垂らすツタージャ。そして…もはや喰うことが前提になっている氷竜。

見せる態度はバラバラだったものの、全員がじりじりと坂本に近づいてきていた。

「な、なんなんだよこいつら…」

「みーんなボクのお友達だよ♪さてと…」

カイオーガは坂本の脇に手を入れ、逃げられないようしっかり捕まえる。そのままくるりと3人の方を向き、まるでオークションに出された品物のように見せつける。


「…エヘヘ…誰に食べられたいかな?」

「ハ…はあっ!?何言ってやがる…」

「決まってるじゃないか。僕を傷つけたのは本当はキミだって…知ってるんだよ?」

カイオーガの特殊能力…それは体の触れた相手には心が通じ合い、真実や嘘を見抜くことは勿論、相手の精神力が弱ければ操ることもできるというものだ。


「本当の嘘つきには…本当の{オシオキ}がいるもんねぇ〜?まあもちろん…」

カイオーガはちょっとだけ膨らんだ右胸を撫でる。舌蛇の地獄に揉み殺されかけている山本の姿が、嫌というほど彼の頭に浮かぶ。

「この子も出したげない…けどね♪」

「で、でも何言ってやがる…こんな奴に俺が食えるはずが…」

ツタージャを指差し、「とにかく時間を稼ごうと躍起になっている」オーラを振りまいて叫ぶ坂本。


「クスッ…それはどうかな?」

「えっ…」

カイオーガは坂本を捕まえたまま、なんと一緒に小さくなり始める。カイオーガが10cm程になったときには、坂本はツタージャですら余裕で丸呑みできてしまう、3cmの小人と化していた。


「なっ…なんてことしやがる…」

「あはは…さあ早く選んでよ。じゃないとボクが決めちゃうぞ〜?」

「く、食われたくなんか…」


しかしこの時、既に坂本は自分の運命を悟っていた。自分はこの中の誰かの腹に収まり…トロトロの液体にされてしまうのだと。


<2011/05/15 15:47 ロンギヌス>消しゴム
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