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後ろの正面だあれ − 旧・小説投稿所A
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後ろの正面だあれ

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ズニュ…ギュルルゥ…!!

「あ、し…しまっt…」

立ち尽くしていた二人の首に、突然大蛇が身体を巻きつけだす。抵抗をする隙も与えられず、二人はグイッと地面に引きつけられた。




「…どっちがやったのか…教えてくれる?」

「「ひいっ…!?」」

今まで鼓動の音しか聞こえなかった空間に、この体の持ち主であろう声が響き渡る。それは余りに恐ろしく…静かだが怒りに満ち満ちた声だった。



「こ…こいつ…こいつがやった…」

「お、お前なにいって…!!」

悪魔のような問いただしに怖気づいたのか、坂本は全責任を山本へと転嫁する。その震える彼の手から、鮮血のついたナイフが滑り落ちた。

「ふぅん……そっか。」

ひれ伏された坂本に巻きついていた舌が、しゅるしゅると地面の中へと戻っていった。逆に山本は唾液溢れる舌の海に、少しずつ引きずり込まれていく…

ズププ…ニュムゥ…ズニュ、ズニュ…

「あぅ…だ…誰か…ああっ…」

足から沈んでいく…しかも何も抗えないというのは、本人にとって相当な恐怖だろう。唾液と舌肉とが擦れあう海の中に、既に山本の腰は飲み込まれていた。


「坂m…た、助けてくれ…」

「…………」

坂本は引き込まれていく仲間を前に、ゆっくりと近付いていく…引っ張ってくれるのを、山本は手を伸ばして期待した。


「………けっ…ありがとよっ!」

「んんぅ…待て…待って…ああぅ…」

助けを求めて伸びきっていた腕を払い、坂本は舌袋の隅へと行ってしまった。取り残された山本の心に、更なる恐怖と絶望が降りかかる。


にゅぷにゅぷ…♪ずぶずぶぅ…ぬちょお…♪

「そ、そんな…誤解だ…」

下半身は柔らかい海の餌食となり、無数に思える舌に揉みほぐされていた。何より手をかける場所が舌しか無い上に、唾液に濡れたもの同士…摩擦は起こってくれない。


「お…おい!違うんだ!俺じゃぁ…ない…」

「…まだ言うんだ♪…悪い子には…お仕置きしちゃうぞ?」

「んっ……んんんっんんんん…!!」

残酷にも、山本の口は濡れた舌に塞がれてしまう。もはや彼の身体のほとんどは舌に包まれ、唾液に光る手だけが、顔に巻きついた部分をギブアップのように叩いていた。


ずむむ…ごぷぁ…ずにゅ、ずにゅぅ…

「ほ、本当なんだ…誤解だ…」

「嘘つき。」

首から下は全て海に沈められた山本。辛うじて呼吸が許されている顔が溺れるのも時間の問題だった。

「だめ…やめてくれぇ…」

むぐぅ…ぷにゅっ…

「むぁ…違うんだ…」

こぷぉ…んぐぅんぐぅ…

「嫌だああああああああああああああっ………………あ…」


頭が舌海の中に消え、くぐもった悲鳴が響き渡る。彼がその中で何をされているのかは、ご想像にお任せしよう。ただ…












悪魔を怒らせた彼が、もう地上に出ることは…


<2011/05/15 15:47 ロンギヌス>消しゴム
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