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ケンケンパァ!だよ、人生は。 − 旧・小説投稿所A

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ケンケンパァ!だよ、人生は。

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「……おい、どうしたんだ。」

バクフーンは首を傾げて尋ねた。
というのも、なぜかルカリオが
踏み出した最初の一歩で、足を止めたのである。

「ルカリオ……?」

返事はない。
しかし しっかりと呼吸はしている。
当たり前だが 死んじゃいない。

「ど、どうしたってんだよ!」

試しに大きく揺さぶってみた。
するとルカリオは、何も言わずに
しゃがんでバクフーンを地面に下ろした。
その行動の意味は さっぱり理解ができない。

「あんちゃん、今すぐ出口に向かうんだ。」

「……はぁっ!?」

“ケンケンパァ”の話の時ほどではないが、
また頭の中でハテナマークが渦巻いた。
しかしルカリオの顔は至って真剣。
冗談を言っているようには見えない。

「な、なんで? あんたも一緒に……」

「俺の足元を見ろ。」

言われて視線を下に向けた。
それを見た瞬間 表情が固まり、絶句する。

ルカリオの足は、
あの紫色をしたモノ……、ベトベトンにしっかりと包まれていた。
これでは当然 動くことができないわけだ。

「は、早く言えよ!
 待ってろ、今 火炎放射で……」

「やめろ、無駄だ!」

火炎放射を放とうとするバクフーンの口を、
片手を伸ばして押さえるルカリオ。
バクフーンはそれを振り払って、キッと睨み返し 反論する。

「なんでだよ!
 このままじゃお前……」

「手遅れだと言ってるんだ。
 あんちゃんを降ろした瞬間、
 背中もベッチャリ捕まっちまった。」

「そ、そんな……」

吊り上がった目はすぐに垂れた。
もうすでにベトベトンは ルカリオの胴体を
完全に占拠している。
彼の表情も だんだんと青ざめているように見える。

「――いや、俺も残る!
 どの道、俺の右足は この通り使い物になんねぇんだ!」

「……おいおい、あんちゃん、
 もう俺の話を忘れちまったのかよ。」

気力の無くなっていく顔で無理に笑顔を作るルカリオ。
バクフーンは俯いていた顔をあげて きょとんとそれを見上げた。

「言っただろう、人生は“ケンケンパァ”だと。
 あんちゃんには まだ立派な左足が残ってるじゃねぇか。
 うだうだ言ってる暇があったら 早くその左足で出口に向かえ!」

「……っ!!」

まるで何かに目覚めさせられたように目を見開き、
バクフーンも 笑顔とは言い難い笑顔を 作り返して頷いた。

壁を伝って、その“左足”で地面を強く蹴って立ちあがった。
バランスはとりあえず上々。
しかし気を崩せばいつ倒れてもおかしくはない。

もうルカリオの姿は、まぶたとその周り以外 ベトベトンに隠れてしまった。
彼の胴に、薄紫色の舌らしきモノが回り込んでいるのが見える。
その後ろには大きく口を開くベトベトンの姿。
おそらく、獲物を食う態勢に入っているのだろう。

紫色の液体が、まるで太い触手のように、
残ったバクフーンを捕えようと手を伸ばし始めた。

バクフーンは身を翻した。
もう後ろを振り向くことはない。
ひたすら片足で、ケンケンで出口へと進んだ。

ひたすら。ただひたすら。それだけを頭の中に浮かべて……。


『いいか、あんちゃん、
 俺は今ここで、オトリになってあんちゃんを助けたっつぅ
 華を咲かせたわけよ。
 これが俺の“パァ”だ。もう今更 悔いはねぇ。
 見た目こそチンケだが、こんな洞窟には勿体ねぇくらいだろうよ……』












さて、このままじゃ捕食要素が少なすぎるってんだろ?
わかりましたよ、わかったぜよ!
んじゃ ご希望に応えまして……。
もう少し やっちゃいましょうかねぇ(殴
<2012/09/07 01:09 ギン鶴>
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