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「もっ、もし出口についたら教えてくれ。俺ぁ寝る！」

「……あんちゃん、あんたそれでも旅人かよオイ。」

ついに、明らかに躊躇した言葉がバクフーンの口から漏れ、
たまらず突っ込むルカリオ。

「いっ、いいか、旅の中で迷路や分かれ道は付き物だ。
　だがな、今 俺たちがいるこの場所には、
　俺たちのことをメシだと思ってるヤツがいるんだぞ!?」

「……まぁ、食われた時ゃ食われた時で、それもいいじゃねぇの。
　奴らの栄養、一部となって 生き続けるわけなんだしよ。」

「絶対に嫌だぞ!!　そんな人生!!」

むきになって声を荒げた。
そりゃもちろん、あんな変な奴に食われるなんてまっぴら御免だ。
しかし、さっき放った自分の声があまりにも大きすぎたことに気付き、
慌てて両手で自分の口を塞ぐ。
まさに“屁を放って尻窄め”ということわざがピッタリである。
幸い、周りを見渡してもベトベトンが近づいてくる気配はなかった。

少し間が空いて、ルカリオが切りだす。

「いいか、若い旅人よ。
　人生というのは、“ケンケンパァ”なのだ。」

「………はぁ!?」

いきなり訳のわからないことを聞かされ、
頭の中がハテナマークでいっぱいになった。
おそらく今までで、一瞬のうちに こんなにハテナが浮かんだのは初めてだと思う。

「“辛くも厳しい人生の道のり”まるで片足で歩いていて、
　今にも倒れそうな道のりよ。これがいわゆる“ケンケン”だ。
　“人生のピリオド”今まで歩んできた道のりに終止符を打つ。
　そこで人生最大の華を咲かせるもんだ。いわゆる“パァ”ってなわけよ。」

「……ちょっと何言ってるかわかんない」

「なんで何言ってっかわかんないんだよ。
　……あ、いや、そうだな、あんちゃんはまだ若い。
　まだまだ“ケンケン”なわけだからよっ！　ハハハッ！」

このときはまだ、その話をただ何も思うことなく聞き流した。
深い意味など 全くもって感じなかった。

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