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ケンケンパァ!だよ、人生は。 − 旧・小説投稿所A

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ケンケンパァ!だよ、人生は。

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「かえらずの洞窟……?」

客も少ない古風な茶屋の店先で、一匹のバクフーンが店主に聞き返す。
見たところ旅人のようであり、もの好きにも古臭い菅笠を頭の上に乗せている。

「そう。その名の通り、
 あの洞窟に入っていって無事に出てきたヤツなんて滅多にいねぇ。
 運よく出てきたとしても、震えて話しすら聞いてくれねぇんだ。」

「……へぇ〜。」

完全に鵜呑みにしたような声で返した。

「隣町に行く手段は、
 その洞窟を抜けるか
 この村にある 年寄りの気球を使うかの二通りだが、
 あいにくこの時期は風が強くてしばらく飛ばせねぇらしい。」

「……そうか、よ〜くわかった。」

バクフーンは一通り話を聞き終えると、
両手をテーブルについて立ちあがり、そのまま 茶と団子の代金を粗く置いた。
その表情は 少し笑みを浮かべているようにも見える。

「おい、まさかあんた、洞窟に行く気じゃぁ……」

「……茶屋のくせに 茶が不味かったぞ。」

… … …

「……そりゃどうも。
 帰ってくんなよ、若造。」


※  ※  ※


「……ここか、その洞窟ってのは。」

目の前に見える洞窟の入り口は 以外にも狭く、
バクフーンが身を屈めて やっと入ることのできる大きさだった。
そのうえ地面に砂っぽさが無く ごつごつしていて、
這って歩くと 進むたびに、手のひらと膝に痛みが走った。

しばらく進むと、ドームの中のように開けた空間に出た。
天井も高く、やっと腰も伸ばせるスペースだ。

しかし、その先は 道がいくつにも分かれており、そう簡単に進めそうもない。
膝の痛みもあって、とりあえず 洞窟の壁に背をもたれ、胡坐をかいて座った。
ふと、痛んだ足を見てみると、右膝が腫れて 酷く血が滲んでいた。

「ウッ……、見なきゃよかった……」

そのまま目を逸らして、進む先の分かれ道に目を向けてみた。
向こうからの風も無く、ヒントになりそうなものは何一つない。

「もしかすると、この かえらずの洞窟での失踪って、
 入り組んだ大迷宮が正体だったりして……」

もしそうだとすると、
迷う前に 一刻も早く引き返した方がいいかもしれない。
出られなくなって白骨化してからでは遅いわけだし……。

「いやいや、それを承知でこの洞窟に挑んだんだ。
 ここに来て今更引き下がるようでは 示しがつかないだろう。」

「行き詰ってるみたいじゃないか、若造。」


「……!
 なっ……あ、あんたは……」




「あれ?捕食要素は?」

……(゜ω゜)

「ねぇ、捕食要素は!?」

……(゜ω゜)



<2012/08/19 19:04 ギン鶴>
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