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こねくた − 旧・小説投稿所A

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こねくた
− 七月の某日 1 −
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 目が覚めた。いや、気付いたというのが正確かもしれない。
 いつの間にか、森の真ん中で不自然に切られた木の切り株の上に座っていた。
 久々に、夢の国へ来ることができた。
 周りは薄暗く、朝日が木漏れ日となって照らしているだけ、木々は茶色というよりかは灰色だったり黒色に見えたりと不気味で、不思議と幼い頃に読んだ不思議の国のアリスを彷彿とさせた。
「久々に来てみたけど……今回は僕好みの世界じゃないか」
 周りを見渡してみる。木。木。木。
 四方どこを見渡しても木が生い茂っている。
 木が切り倒され不自然に切り株になっているのは僕が今座っている場所だけのようだ。
「さてと……今回のヒロインやヒーローはどんな奴かね。僕としては、ヒロインをお願いしたいが」
 さっと立ち上がり、適当な方角へと歩み始めた。


 ここは夢の国。あの某ネズミマスコットのいる遊園地ではなく、文字通り、僕が寝てる間にみる夢の中である。
 この夢の国について単純に重要なことだけかいつまんで説明する。
 第一に、夢の国の開始場所はランダムで日の出直後から始まり、次の日の日の出頃には脱力して現実へと引き戻される。
 第二に、怪我をしても死なない限りは現実へは戻れない。
 第三に、登場人物(僕はキャストと呼ぶ)は全て人外の形をしている。
 第四に、ここは僕の夢の中。登場人物やこの世界を除く自分自身に対して、思い通りに姿を変えることが出来る。
 この世界の主な特徴はこれくらい。
 第四のルールは単純に言えば、どんな能力も付加できればどんな姿にも変身できるというわけだ。
 

 歩き始めて幾ら経っただろうか。
 夢の中なので想像力しだいで自分の姿を変更できたり能力を付加できるのだが、何故か疲労と体力はどうにもならない。
 周りは僕好みの不思議の国のアリス調の不気味な雰囲気だが、どうも歩かされるのはキツイ。
「こんかいのストーリーは一体どれだけ歩けば始まるんだい? この世界の神様は実質僕のはずなのに」
 この世界は、不幸なことに僕の良く分からないことで満ちている。
 しばらく歩くと、木と木の間の間隔が開いてきて木漏れ日がたくさん入るようになった。
 まだ、午前九時くらいだろうか。
 そして、今度は木が生えていない広場に抜けて、真ん中には歪んだレンガ造りの小さな小さな小屋があった。
 それは、本当に小さかった。
 まず、屋根の高さが二mくらいで、木製のドアは僕の背丈の半分位だった。
 


<2012/09/20 20:49 テルヒコ>消しゴム
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