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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A

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狼と狐のち日常

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……どうしてこんな事になった?


決して手の届きそうも無い大空は綺麗な程に青く澄んで、広々としていた。
相反する僕ら、大地は混沌と負の空気に淀んでいた。
咎められるような事をした覚えは無い。
無数の金属が幾度となく擦れ合い、高い音を奏でていた。
……僕の庭で。

「東雲 海羅、お前を捕らえる」

隊長格の衛兵がそう吐き捨てた。
城下町からの刺客、無数の衛兵達。
目で測ってみても総数を悟ると事はできなかった。
道から庭に至るまで兵、兵、兵。
明瞭にこちらが不利と言うのは誰が見ても容易に感じられるだろう。

「罪状は?」

しかし、すぐに刃を向けるような事は無かった。
こちらとしては意味も分からぬまま捕らえられるのはご免だ。
あちらとしては刃を交えず、捕らえたいのが本望なのだろう。

「国王に対する脅威を所持した罪だ。できれば抵抗はしないほうが……」
「ふむ、海羅に対する言いがかりじゃとな?」

庭に全員集合の中、隊長格と僕との間に割入ったのは菫だった。
比較的温厚な菫が、完全に目前の衛兵達を敵視し
喉を激しく鳴らし威嚇、更には口角から牙まで覗かせている。
背後に控えている獣達もこの切迫した雰囲気に殺気立っていた。
ソルに至ってはすでに臨戦態勢。

「……その脅威とは?」

正直、検討はもうついている。
恐らく菫達の事だろう。
巨躯で強靭なる大型獣を数匹支配下に置いている事自体が十分な脅威だ。
菫達を使えば、国王を亡き者にし王城を落とすのは容易だろう。
無論、僕にそんな事行うつもりは無いし、行う度量もない。

「その獣達だ。そいつらはお前の命令を聴くのだろう?」
「一応ね。聴かない奴も居るけど」
「それでも十分だ。できれば……大人しくして貰いたいが……」
「っ!?」

乾いた音。肩に奔る鋭利な痛み。
舞い上がる血潮。そこに居た誰もが目を疑っていた。
それは銃声だった。
火薬が爆ぜ、飛翔する鉛の玉は僕の肩に穴を穿つ。
肉体を貫く衝撃はそこだけでは収まる事を知らず
地面へと薙ぎ倒した。

「っく……ぅぅ……」
「ま、マスター!」
「東雲兄さん!」

流血する肩を押さえ、状態を起こそうとする僕をフラウと砂羽、2人が支えに入る。
痛みは激しいが、傷口はそう酷くはない。
すぐに手当てし、止血すれば大事に至らない。
それよりも心配なのは菫達だー
痛みに顔を顰めながら、自らの視界で現実を見てしまう。
それぞれが憤りを抱き、完全に衛兵達を獲物と認識してしまった。
仕掛けたのは衛兵達、ならば正当防衛だ。
しかし、この衛兵達の数。
敗北は小さな確率だが、怪我の可能性は高い。
それに……牙を剥いてしまった獣達を僕に止める事はできない。

「お願い……怪我だけはしないで!!」

獣達は一瞬のアイコンタクトを交わし、少数編成の小隊に
被る事無く散開していく。
そして、残るのは目前の隊長格が仕切る小隊。
それに対峙せしは……
憤怒の度合いを示すかの様に目が吊り上がり、ごうごうと音を立てていそうな
殺気が溢れ出ている、完全なる’竜’の気を発するフラウだった。
僕に彼らを止める事はできない……
今日は、凄まじい惨劇の日になってしまいそうだったー


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the Choices 8
 
 ・「海羅を……海羅を撃ちおったな!」
   >> 45
  
 ・「黙っておれば!」
   >> 46
  
 ・「久々に暴れてやるか……」
   >> 47
  
 ・「こいつら……万死に値する!」
   >> 48  
  
 ・「マスターが……赦さない」
   >> 49
  
 ・「に、兄さんの手当をしないと……」
   >> 50
  
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<2012/05/02 22:01 セイル>消しゴム
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