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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A
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狼と狐のち日常

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「お待たせ」
「遅かったの♪」

両前脚に預けられていた頭が浮く。
声の調子が幾分か良い気がする。

「何かあったの?」
「ん? 気持ち良く眠れただけじゃ♪」

何か引っかかるような言い方だが
菫自身がそう言うのだから、詮索はしないほうが良いのだろう。
そうして、菫の横腹は足を運び
前もって掛けていた、鋼線に物資の詰まった買い物袋を吊り掛ける。
さて、水晶菫をあげないとね。

「菫〜」
「なんじゃ?」
「はい♪ プレゼント♪」

相変わらず、どこか嬉しさを感じさせる様子の菫。
その目前に、水晶菫を差し出す。
目が丸くなり、耳も一瞬で緊張状態に。
口も開いたまま塞がらない。
そうして、3秒。
菫は目前の現実が受け入れられないようで
前脚で眼を何度も擦る。

「これは本物だよ? 本物の水晶菫」
「こんな馬鹿高価な物をどこで!?」
「知り合いの花屋さん。無料で頂きました♪」

入手経路を話すと、菫はどうにか落ち着きを取り戻した。
ふぅ、と肩の力を抜き穏やかな表情を浮べた。

「タダで譲るとはのぅ……経営は大丈夫なのかえ?」
「うん、全然問題ないよ。大繁盛してるから」

あの花屋は大変上手く行っている。
赤字の心配はないだろう。

「う〜ん……耳の後ろで良い?」
「主の好きな所に飾るが良い」

菫は上げた頭を再び、重ねた両前脚に預ける。
僕がどこにでも飾れる様に、との心遣いだろう。
前脚の背面、隙間から耳元に潜り込んで
右耳のすぐ後ろ、そこの黒毛に水晶菫を絡ませる。

「よし、いいよ」
「ふむ。では、帰ろうか」

そのまま菫が首を擡げ、僕を背中に滑らせる。
僕は背中に跨がり、姿勢を下げる。

「行きは良い良い。帰りは恐い……となっ!」

ごう、と穏やかな空気が抵抗を持ち始めた。
強靭な足腰が大地を蹴り、菫の体を前方へと加速させる。
弾丸の如くになるのにそう時間はかからなかった。
行きとは比較にならないスピードで帰路に就く。
空に太陽は昇ったまま。



 * * *


 
「ご馳走さまでした♪」

夕食を終え、両手を合わせて感謝。
リビング、窓ガラス前の土鍋を拾い
庭に向かって、声を飛ばす。

「皆〜、食器持ってきて」

人型である僕らの食器は小さくて、フラウが流し場に運んでくれる。
大型の菫達は最早、土鍋を使っている。
ガレイドは鏡の性質が必要だから僕らと同じリビングで食事するが
それ以外は土鍋一杯に盛られた食料を庭に出しておき
各々が勝手に持っていって、食べる。
大抵、菫達のほうが早いため、呼べばすぐ持ってくる。

「美味かったのじゃ♪」
「満腹じゃ♪」
「東雲を喰いたいな」

ソルの一言には触れない事にして
解散を促す。
足下に置かれた土鍋3つ。
食べ方にも個性が出ており、土鍋を見ればすぐに分かる。
菫は丁寧に食べているようで、比較的綺麗だ。
椛は涎ダラダラなのか、土鍋に唾液のシミが出来ている。
ソルは……もう少し丁寧に食べてくれないかな……
土鍋自体がかなり削れている。
菫達の食事は週に3日。
その日はソルに砂羽を摘むのを止めさせ、フラウの手伝いをさせる。
流石に、自分たちの食器に加え、土鍋4つは辛いだろう。
僕が手伝おうにもフラウはやらせてくれない。
だから、砂羽を使う事にした。
ジャー、と蛇口から水の流れる音が耳に入った。
フラウと砂羽が仲良く洗い物を始めた。
砂羽は普通だと流し場にすら身長が届かないため
踏み台を使い、フラウの手伝いをしている。
それに対し、僕はソファに腰掛け本を読んでいる。
最初は申し訳ない気もしていたが
今ではすっかり慣れてしまい、日常。
だって、フラウがやらせてくれない。

「フラウ、ベッド……乾いてないよね……?」
「……残念ながら」

唾液で犯されたベッドがすぐに乾く訳も無い……
掛け布団も椛の唾液で汚されて、やっと洗濯が終わって
今日の朝に乾かし始めたんだよなぁ……
半日では乾かないよなぁ……流石に。

「今日……どうやって寝ようかなぁ……」



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the Choices 2

 ・椛の尻尾布団だっ! 汚した本人だし、責任を取ってもらおう。
  >> R-1

 ・菫の体毛に埋まろう
  >> 21

   
 ・ガレイドに……でも鏡世、地味に寒いしなぁ……
  >> 22
 
 ・ソファで寝るか……
  >> 23

  ・ソルに頼んでみようかな……
  >>翌日、血の池が出来るから止めておこう


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選択肢 『R』
裏です。
どうぞ、お楽しみくださいませ♪

<2012/03/25 21:29 セイル>
消しゴム
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