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狼と狐のち日常 − 旧・小説投稿所A
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狼と狐のち日常
− 『いつもの道で行こうかな』 −
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やっぱりいつもの道がいいかな……
迷ったりすると面倒だし、菫にも何か言われそう。
取り敢えず、人混みを避ける様に
道路側に添う道に入る。
すぐ側を大迫力で狼や地竜が大地を駆けていく。
相変わらず、側を過ぎていくその存在には
幾分か恐ろしさを感じる。
転倒でもすれば、真っ先に巻き込まれるだろう。
この道なら他の人間は寄る事は少ない。

「いらっしゃいませ」

元気のよい優しい声が飛んだ。
これはあの人の声だな。
特徴があるからすぐ分かる。
気の合いそうな優しい声だから。
……あの人は良い人だなぁ。
色とりどりの種類豊富な花達に囲まれた2人。
男性と女性。
青色と赤色のエプロンをそれぞれ着用し
お客さんに笑顔を振りまいている。


『flower shop 夜空の晴天』


男性はアルザさん。女性はミリュイさん。
夫婦でその花屋を営んでいる。
対応の良い事で人気の花屋であり、その笑顔は見ているだけで
元気になれるとか。
パワースポットの雑誌にも載ってたっけ?
アルザさん……実は人じゃなくて、獣人なんだ。
人狼に変身できて、迷惑客を追い払っていたのを見た事がある。

「あら、東雲君。お久しぶりね」
「ミリュイさん。繁盛してますね」
「ああ、忙しくて大変だよ」

ミリュイさんの対応の後ろで、アルザさんが鉢植えや花の設置に追われていた。
忙しそうだが、凄く充実していて嬉しそうだった。
折角だし……菫に何か買っていこうかな

「えっと……水晶菫ありますか?」

水晶菫……花の中では非常に高価な部類に入る。
北の地域にしか見られない、花弁が水晶のようなもので
成長した菫。
花屋に並ぶ事は滅多になく、手を出せるような値段ではない。

「水晶菫……? アルザあったっけ?」
「あぁ……確か一本あったな」
「あるんですか!?」

冗談で言ったつもりだったんだけど……
困ったな……そんな大金持ってきてないんだよね……

「東雲君、持ってってくれないか?」
「ええっ!? そんな希少価値の高いものを……?」
「あぁ。君にはお世話になってるからね。この店は君に広めて貰ったようなものだし」

そんな覚えは無いんだけどなぁ……
確かに知り合いにこの店の事を喋った事はあるんだけど……
アルザさんが作業を止め、奥から一本の水晶菫を持ってくる。

「これは僕とミリュイの感謝の気持ちだ。ありがとう」
「……恐縮です」

なんだか申し訳ない気持ちになりかけながらも
遠慮しがちにその高価すぎる花を受け取る。

「東雲君。本当にありがとうね」
「いえいえ……」
「引き止めたみたいだね」
「あ、そうだった。買い出ししなきゃ」

僕が照れ隠しに笑うと、夫婦も釣られて笑顔になる
……なんて暖かいんだろうな。
礼儀正しく頭を下げて、挨拶を交わすと
僕は買い出しに向かった。



<2012/03/23 15:15 セイル>消しゴム
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