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捕食旅館へようこそ ~ ご主人様は肉の味 ~ - 旧・小説投稿所A
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捕食旅館へようこそ ~ ご主人様は肉の味 ~
- 出港 -
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ロンギヌスは顔をしかめた。乗り場は異常なまでに磯臭かった。
海に慣れているカイオーガでさえ、ムッとしたように鼻を押さえている。
そんなお世辞にも快適とは言えない停泊所で、自分達の船は極めて浮いているように見えた。
別にバカげた洒落などではない。本当に「浮いて」いるのだ。
「な…何だか無駄な高級感を感じるような…..」
新品同然の白いボディが、日光を浴びてダイヤに匹敵する輝きを放っていた。
船首にはブルーの塗料で「レグゼオン号」と書いてある。
使い古されて苔がこびり付いた船が並んでいる中で、それは堂々と異質なオーラを放っていた。
ロンギヌスはペラペラの安っぽい乗船券に目を落とす。
こんな薄っぺらい紙切れから想像もつかないような立派な船舶。
正直、どこか気が引ける思いだった。
「カイオーガ….これ、招待客じゃなかったら数万はふんだくられてるぞ」
「ご、ごめん…..」
「ふふ…別にええどす。
このクルーザー自体、オーナーが手違いで購入したもんですさかい」
「そうっすよ!! 先輩は悪くないッス!」
ダークライが喚いた。
ミロカロスの言葉に興味を示したのか、ラティオスが穏やかな声で問う。
「手違い…..ですか?」
「ほんまは、Bランクの船舶を5隻買おう思っとったんどす。
それが……確認ミスでAランクが3隻になってしもうて。
お陰さんでうちらの給料、二ヶ月ほどピン撥ねされてしまいました」
「….ひどい話ですね…」
道理で誰も乗らないわけだ、とロンギヌスは思った。
というより乗りたくても、金銭的に乗れないのが実状だろう。
そういう意味では、案外ラッキーかもしれない。
「さ、遠慮せんと乗ってください。
中にスキューバの装備も置いてありますさかい、あんさんいかが?」
「ま、マジですか!!? おっしゃッ!」
常々いつかは体験してみたいとは考えていたが、ここで実現するとは夢にも思わなかった。
それとも16歳にして、まだ一度も潜ったことがない方が可笑しいのだろうか。
ロンギヌスは先陣きって橋を渡り、広々とした甲板へ足を踏み入れた。
ほとんど汚れのないそこは、まだ微かに檜の香りを発していた。
その後はカイオーガ(ダークライ付き)、ラティオス、ミロカロス、レムリアと続き、ギラティナがしんがりを務めた。
「先輩ッ! どのようなルートで行きましょうか!?」
「う~ん、どのようなって言われても海だからね…...
適当にぐるぐる回って、いったん沖で停めてくれたら嬉しいかな」
「先輩が嬉しいんなら何でもやるッスよ!!!」
「ハイハイ、せいぜい頼りにしてるよ……」
「…せ、せんぱぁーい……後でちゃんと犯してくださいね…オレの事メチャクチャに…」
「だ、だからそういう発言は誤解を招くからやめてってば!」
「ははは、イイっすね先輩…!
写真撮りたいんでもっとプンスカ怒ってくださいッ&#8252;」
その発言をきっかけに、カイオーガは船尾にもたれていたギラティナの元に駆けていった。
ダークライは執拗に彼を助手席に置きたがったが、こればっかりはギラティナの猛反対により断念せざるを得なかった。
渋々ひとりで免許証をハンドルの横に置き、ギアを引く。
典型的なモーターの駆動音が、海の中でゴボゴボと鳴り始めた。
==========
「ぅわぁ……….綺麗…」
出発してからというもの、カイオーガはこの台詞を三度も口走った。
海と空の区別がつかないほどに水は透き通り、海面はサファイアが溶けたような輝きに覆われている。
おまけにパラソルや他の観光客など、絶景をさえぎる障害物は一切ない。
自分に財産さえあれば、著名な風景画家を呼んで絵に描かせたいところだ。
「ねぇねぇマスター、先に潜っててもいいかな!!? 待ち切れないよー…」
「…駄目だ。迷子を捜すのってかなり骨が折れるんだぞ?」
彼が迷子になることを前提で話しているのは、勿論、前例があるからだ。
総出で出かけた巨大ショッピングモールで、見事に行方不明になったカイオーガ。
彼の捜索にはおよそ半日を費やし、結局買ったのはバビロンのヘッドホンだけだった。
バスをいくつも乗り継いで行っただけに、思い返せば今でも気が沈む。
「あ、あのときは…ちょっと興奮しちゃって…...」
お前の興奮の基準は、いったいどれだけ低く設定してあるんだ。
カイオーガは上目遣いにねだり続けてきたが、そんな手慣れた手法に屈する俺ではない。
さすがに何年も一緒に居ると、免疫が付いてしまったらしい。
「ムゥ……意地悪すると女の子にモテないぞッ!」
「よっ、余計なお世話だ」
結局カイオーガは降伏し、船がダイビングポイントに到達するのを待った。
それでも欲望と興奮が抑えられないのか、唸りながら甲板の中央でのたうち回る。
まだまだこいつも子供だな。
「大体、お前って海で産まれたんだろうが。
綺麗な海のひとつやふたつ、今までにあったろ?」
「….そりゃあ、出身は海だけどね。陸で過ごした時間の方がずっと多いんだもん」
『海王』の称号を持っておきながらそれでいいのか。
だがそれでも威厳を保つため、一応気が向いたときには海に帰っているらしい。
お前のどこに威厳があるんだ、と口にした直後、殺人級のボディーブローが飛んできたため、ロンギヌスは身を翻さなければならなかった。
「もお……ボクだって、パパが死んだらちゃんと政治やるよ。
その時にはマスターともお別れだね♪」
「えっ…」
「200年後ぐらいだけど」
その遥かに手前で、俺は空に光る星になっているに違いない。
というよりこんな危険な日常なら、80年も生きていれられれば上等だ。
「センッパァーイ!!! もうすぐッスから頑張ってくださいね~!!」
ダークライが運転席から喚いた。
密集していた観光客は、既に見る影もなくなっていた。
さらなる沖を目指して泳いでいる男性を尻目に、濃い群青色の水域に船は停まった。明らかに深そうだ。
ミロカロスの指示を受け、留守番のギラティナ以外は金属製の巨大な酸素ボンベを背負った。
勿論、水中で生きられる彼女やカイオーガにボンベは必要ない。
全員の用意が出来たところで、ロンギヌスは軽い注意事項を述べる。まるで幼稚園の引率の先生になったような気分だ。
「いいな、絶対に遠くまで行かないこと。ダイビングってのは命懸けだからな」
「…初心者に言われても説得力ないです」
「そーだそーだ♪」
「……右に同じね」
「う、うるさい。
それとギラティナ、無いとは思うけど、手の届く範囲で誰かが溺れてたら助けてくれ。
触手で引っ張りあげるぐらいは……出来るよな」
「当然だ」
「よーし……じゃあ行くか」
ロンギヌスはチューブを咥えた。新品とはいえ、ゴムの味はやはり不快だ。
カイオーガが我先にと船首から飛びこむと、巨大な水柱が打ち上げた。
ダークライも彼を追うように後に続く。レムリアも、ラティオスに先導されながら飛び降りる。
「ミ…ミロカロスさん、行きましょうか」
「ふふ、おおきに」
ミロカロスの鎌首にさりげなく手を添えると、彼女はニコッと微笑みを咲かせた。
心臓が肋骨を痛いほどに叩いている。水中以上に息が詰まりそうだった。
こんなまるで恋人同士のような状況を授けてくれて、神様ありがとう。
ロンギヌスはチューブを噛み締めると、彼女と同じタイミングで海に飛び出した。
<2012/03/19 08:07 ロンギヌス>
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