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欲望のままに − 旧・小説投稿所A

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欲望のままに
− No.01 −
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ザアァァァァ…

『なんてこった…今日は運が無いぜ…』

突然の嵐、森の中でただでさえ寒いのに、これでは肌が切り裂かれてしまいそうだ…

俺は《旅人》とでも言おうか、各地を当てもなく彷徨い、気になる情報を仕入れてはその情報を元に新たな道を切り開く。
1日1日が常に危険と隣り合わせの日々だが、俺はそんな生活に満足していた。

そんな俺の宝物はこのリュックとナイフ、それと…母から貰ったブレスレット。
旅人になった当時からずーっと持っているこれらは、俺にとってなくてはならない物だった。
特に、ブレスレットは今は亡き母の形見…絶対に無くせない物である。


俺は、先日滞在していた街で面白い情報を手に入れた。
《北側に存在する森の中には洞窟があり、洞窟内には魔水晶が大量に自生している》
と言う物だった、魔水晶は小さな欠片でも売ればかなりの高値で取引される。
だが、その森は昼間でも暗く、常に不気味な雰囲気が漂っていた。
実際に何人かの者が森の中に行き、そして…魔水晶を持って戻って来た者はほんの一握り…

かくして、現在ではその森に入る者はかなり減った。
街の人々に聞いてみたところ、昨日の夜中に2人、森へと出掛けて行った命知らずの者が居る、と言う事だけが分かったのだ。

いくら危険と言えども、幾らか実戦の経験を積んだ俺なら大丈夫かもしれない。




そう思って森へと出掛けたのが既に3日前である。

『クソッ…寒い…』

動きやすいように薄手の服を選んだのが間違いだった、ここまで寒いなら厚手の服の方が良かった。

冷たい雨が頬に当たり、体温をどんどん奪っていく…

つい先ほどまでは寒いながらも、良い天気で順調に探索は進んでいた、森の中は広く、見通しは良いからだ。

それが突然の嵐によって台無しになってしまった。
これではまともに探索なんてものは出来ない、何処か休める場所を探さなくては…このまま凍死してしまうのは嫌だった。


<2012/02/23 00:57 ラギア>消しゴム
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