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闇影 − 旧・小説投稿所A

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闇影
− 闇影(黒竜) −
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《黒竜》

暗い闇の中、我は走る、哀れな獲物に制裁を下すために。

『クソッ!! 何で俺がこんな目に…ッ!!』

そんな声が聞こえてくる、我は一層速く走った。

ズシッ…ズゥン…

我が走る度に森はざわめき、木の葉を散らす、地面に穿たれた足跡は、偉大なる竜の証。

真紅に輝く瞳が獲物を捉える、我は黒竜神だ、こんな獲物に逃げられるような事は無い。

巨大な身体を揺らし、目の前の獲物を追いかける、獲物で遊ぶのは楽しい、捕まえてしまえばおしまいだが、捕まえない程度に追いかければ獲物はずーっと逃げ続ける。

ガッ…
ザザァッ!!
『痛っ…!!』

獲物が躓いた!!
馬鹿め…!
ニヤリと思わず微笑み、そして哀れな獲物に追いついた、あまりにも呆気ない終わり方。

《ククク…どうしてやろうか…》

我の唸り声が森に響き渡る、月光に照らされた我の姿は…まさしく黒い悪魔にしか見えないだろう。

『止めてくれ!!…俺はただ迷って…』
《黙れ!!》
『ひっ…』

愚か者め!
下らない言い分を考える暇が有るならば我に謝る事ぐらいせぬのか!!

さて…どうやってこの獲物を食ってやろうか…

死を目の前にする獲物の顔を見て、黒竜はさも愉快そうに微笑んだ。

《まずは味見といくか…》

顔を人間に近づけ、匂いを嗅ぐ、息を吹きかける度に人間の顔が歪む。

ジュルッ…ズリュッ…

獲物を押し倒し、柔らかい舌で…味見をするかのように顔や身体を舐め回す、我の唾液は衣服を濡らし、べっちょりと染み込んで獲物をさらに逃げられないようにしてしまう。

『やっ…ふぶっ…うぷ…』

何かを言おうとしているみたいだが、そんな事など関係ない、我は獲物を睨み付け、無理やり黙らせる。
余りにも舐め回し過ぎたか、唾液溜まりが出来てしまっていた。

《貴様…なかなか美味いな…♪》

一旦口を離し、出ていた舌でペロリと舌なめずりをしてみせる。
貴様は我が腹に収まるのだ、と言うことを無言の内に教えてしまう。


<2012/02/20 03:43 ラギア>消しゴム
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