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闇影 − 旧・小説投稿所A

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闇影
− 闇影(獲物) −
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グバアッ!!
ボタッ…ビチャッ…

俺の上で開かれる口、鋭い牙の牢獄が目の前で開く、唾液がとろりと糸を引き、それは俺に降りかかる。
余りに生臭い、血の臭いと、今までに喰われてきた獲物の絶望が混ざり合ったかのような臭いだ…
とめどなく流れる唾液は俺の顔を覆い尽くし、俺は何も出来なくなってしまった。

『…!!』
バクッ…

俺の上半身がくわえ込まれる、そのまま持ち上げられて、じたばたと足を動かして抵抗をするが、無駄なようだ…

ハグッ…クチャッ…クチャッ…バクン…

頭が突然下になると、何回かくわえ直されて口内に収められてしまう、真っ暗な竜の口内は恐ろしく、恐怖を煽った。

『助けて…!!』

とは叫んでみるが…ここは森の中…どちらにせよ、誰の耳にも届く事は無い。

…ムグッ…ズチュッ…

抵抗はするが、黒竜には適わず、舌や牙で玩ばれてしまう、優しく舐め回され、唾液を塗りつけられ、甘噛みされ…俺はいつの間にか抵抗を止めていた…
俺は美味いのだろうか…?
もちろん、抵抗と叫びは上げているが、頭の中ではそんな事を考え始めている。
黒竜が再度上を向いた。

ングッ…ゴクッ…

俺は一気に喉に落とされた、柔らかい肉が俺の身体を包み込み、そしてゆっくりと嚥下されていく…

グジュッ…ズリュッ…

噴門を絞り出されるかのように通り抜け、柔らかい胃袋に落ちてしまった。

《グフゥ…》

満足そうな黒竜の声、胃袋の中はやはり臭かった、流石に獲物を溶かすだけはあるな、とも思った。

『熱っ…』

それにしても身体が灼けるように熱い…抵抗をするが、柔らかい胃壁は手をついても沈み込み、どうにもならない。

グチュッ…グギュッ…

胃袋が激しく動き、俺は優しくサンドイッチにされてしまう、助けを求め、胃壁の隙間から手を出してみたが…もう意識は限界だった…

もう何も見えない、柔らかい肉のベッドに包まれてグチャグチャと消化されていくだけ…

暖かい…心地いい…眠くなってきた……

俺はもうすぐ黒竜の栄養になるのだろう…それもいいかもしれない…こんなに心地いいのならば、いっそのこと…黒竜と共に……


<2012/02/20 03:40 ラギア>消しゴム
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