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見上げれば確かにそこに空がある − 旧・小説投稿所A

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見上げれば確かにそこに空がある

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サーナイトには、かなり遠くまで来たということだけは分かっていた。
全く見覚えのない場所。それが証拠である。

バサバサと荒々しく翼を羽ばたかせて、リザードンはその大地に降り立った。
背中の者を気遣いながら、あくまでもゆっくりと。

「着いたぞ……サーナイト、大丈夫か?」

子ども達を抱えて降りる――というよりずり落ちる――サーナイトの体は、ガタガタと震えていた。
ラルトスとヒトカゲを降ろすと、自身は地面にへたりこんでしまった。

「さ、寒い……」

「すまない、急いでいたのでな。お前を気にする余裕がなかったのだ」

そう言いつつリザードンは彼女をぎゅっと抱きしめる。
まるで氷を抱いているかのように、サーナイトの体は冷たく冷えきっていた。

「こ、ここはどこなの?」

「ここは我輩の――」

視線をサーナイトから周りの景色に移す。
そして静かにこう言った。

「我輩の故郷なのだ」





この地に到着してから既に数十分。
リザードン達はある場所を目指して木々の生える道をただただ歩いていた。

飛べばあっという間なのだが、サーナイトが倒れては元も子もないのでやめにした。

子ども達は相変わらず元気である。

「ヒトカゲ! こっちこっち!」

「ま、待ってよぉ……」

すっかりお姉ちゃんになったラルトス。
元気に走り回っている姉を精一杯追いかけるヒトカゲ。
二人ともすくすくと育っていた。

それに、成長したのは子ども達だけではない。
リザードンは視線を子ども達からサーナイトに向ける。

昔よりも落ち着いた雰囲気でいかにも母親らしくなった。
気のせいか、少しふくよかになった気がする。
しばらく我を忘れて見惚れていたが、「何?」っと彼女に突っ込まれ慌てて視線を前に戻す。

「いや、その……綺麗だなと思ってだな」

「あら、あなたも昔より渋い感じでいい男前になったわ」

素直に嬉しかった。その一言である。
リザードンは何だか照れくさくて目をそらす。

ちらりとサーナイトを見ると彼女は両腕をリザードンに突き出していた。

「む、何だ?」

「ん、だっこ」

思わない反撃に目を丸くしてしまう。
まったく、彼女には敵わない。

軽々とサーナイトを抱き上げると、子ども達もそれを見て飛び付いてきた。

「っ……さすがに重いのだが」

「今ぐらいしか、こんなこと出来ないのかもしれないのよ?」

「う……」

首に絡み付く彼女の腕に力が込められる。
そして、ねだるように唇を突き出してきた。

まさか、こんな子どもの前で……。

その後聞こえてきたのは、子ども達の茶化すような騒がしい声だった。


ここまで捕食要素がまさかの皆無(汗
ごめんなさい。
<2012/08/01 21:23 ミカ>
消しゴム
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