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見上げれば確かにそこに空がある − 旧・小説投稿所A

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見上げれば確かにそこに空がある
− 女 −
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「は? お……おい」

驚きのあまり、口から出てきたのはそんな頼りない声だった。

「きゃ! だ、誰?」

見ればそいつは、顔立ちの綺麗なサーナイトであった。
そんな彼女の口周りは不釣り合いな果汁がべっとりとついている。

「お前……。勝手に何してるんだ」

口元を指差しながら言うと、サーナイトは慌てたように口を拭う。
そんな動作が、不覚にも可愛らしいと思えてしまった。

「ごめんなさい。お腹が空いていたものだから……つい」

視線をサーナイトの後ろにやれば、なるほど、確かに果実は出掛ける前より少なくなっている。
いや、今はそんなことなどどうでもいい。

「別に謝らなくてもいいが、お前はこんなところに一人できたのか?」

そう、そこなのだ。
この渓谷にわざわざこんな女が一人で登ってくるなど、普通なら考えられない。
ましてや、大の男が登山するのを躊躇するほどのこの渓谷を、だ。

「え、ええ。一人できたわ」

「何故か」

「なぜって、一人じゃいけないの?」

質問に質問で返すなと思ったが、彼女の言葉も一理ある。
それに、あまり問い詰めるのも男としてどうかと思った。

「まあいい。それで、何のようだ?」

睨み続けるのも疲れるので、手に持っていたオレンの実を口に運んだ。

「別にあなたに用はないわ。ただここからの景色を見たかっただけだもの」

「それだけのためにこの山を登ったというのか?」

「それだけって失礼ね。私には最高な経験だわ! いつもこんなところにいるあなたにはわからないことかもしれないけどね」

むっとした表情もまた女らしい仕草で、何だか新鮮に感じた。
普通に誰かと会話をしたのはいつぶりだっただろうか。

「さて、もう十分満喫したから私は下山することにするわね」

「また一人でか? なんなら我輩が下まで送るが」

そう言った後に、自分の言葉を恥ずかしく感じた。
これでは、こいつを気にしていることがまるわかりではないか。

「ふふ、気持ちだけ受け取っておくわ。ありがとうリザードン」

「――! なぜ、我輩の名を」

質問に答える前に、彼女は一瞬で消えた。
“テレポート”という技であろう。

「……何なのだ、あいつは」

訳の分からない気持ちを抱えたまま、ごろりと寝転がる。
そして先ほどかじった実を一口で口の中に放り込み、もぐもぐと咀嚼したのだった。


サーナイト登場(≧∇≦)
後から推敲してみて、思った。
まさかのお嬢様体質www
<2012/06/16 23:29 ミカ>
消しゴム
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