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見上げれば確かにそこに空がある − 旧・小説投稿所A

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見上げれば確かにそこに空がある
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気がつけば、辺りは澄みきった暗い闇に包まれていた。
どうやら眠ってしまっていたらしい。

むくりと体を起こすと、恥ずかしいことに腹が鳴った。そこで、昼から何も食べていないことに気がつく。

くあっとあくびをして後ろを向くと、今まで貯めてきた食糧の木の実が少なくなっていた。

無くなってから採取しに行くのも悪くはないが、どうしてもその数の少なさが気になってしまう。
我ながらめんどくさい性格だなと思った。

よっこらせと立ち上がり、伸びをする。
寝ている間に固まっていた骨がバキバキと音をたてた。

(飛ぶのは久しぶりだな)

そう思いながら、リザードンは漆黒の翼をばさばさと振る。
その姿は、月明かりに照らされてどこか神々しかった。
翼を広げたまま、彼は崖の縁に立つ。
すぐ前には道がない。あるのはぽっかりと空いた空間だけ。

その空間に身を委ね、リザードンは崖から飛び出した。
彼の体が宙に浮く。
凄まじい風圧が体にかかる。

正直、このくらいの風が心地いいと感じた。
なにせ、暇なのだ。こんな渓谷にやって来るやつなんていない。
寂しさを紛らわすには、この風は十分である。

霞んでいた地面が少し見えてきた頃、リザードンは一気に翼を広げた。
ばさりという音がなり、落ちる速度が急激に下がる。
後は、自然の原理で飛ぶだけ。いわゆる、滑空である。
空は相変わらず静かだ。
昼に、上空から森を眺めると鮮やかな緑色の木々も、夜になれば不気味な黒い色に染まるのだから驚いてしまう。
皆が自分を避けてしまうのが、何となく分かるような気がした。

(確か、あそこに……あれか?)

獣のごとく、夜目がきくリザードンは難なく目的のものを見つけた。それはオレンの実のなる木である。
他の実よりも腹にたまるそれは、彼の好物だ。

体を傾け、目的の場所に向かう。
遠くから見れば小さな木も、近くで見ると意外に大きかった。
しかし、飛びながらでないと採れないというような高さはない。

リザードンは大地にゆっくりと着地し、ふぅと息を吐いた。
久しぶりの飛行は少し大変だったようだ。

(……少しは運動した方がいいな)

自分の情けなさに苦笑いをうかべながら、オレンの実がなる木を見つめる。
どの実もはち切れんばかりに引き締まった果肉で、どうやら丁度食べ頃のようだ。

(さて、いくつ持っていくかな)

柄にも似合わずうきうきしてしまっていた。
悪魔の化身だなんて形だけだなと常々思う。

もちろん、今は食い物の方が優先である。
リザードンは器用に実を切り離していく。

その時の衝撃で破れた果実から勢いよく果汁が飛び出す。
手についたそれを舐めるとほんのりと甘く、柑橘類の爽やかな酸っぱさが口の中に広がった。

それらを抱えられるだけ持つと、再び空に飛び上がり、あの渓谷に戻る。

また、一人の時間が始まると思っていた。

だからこそ、見慣れた空間に見知らぬ影がひとつあることに驚いてしまった。
なんと、先客がいたのだ。


だらだら長くなってしまった(汗
サーナイトまであと少しっ!( ̄∀ ̄)
<2012/06/11 23:15 ミカ>
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