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【保】特生3課〜東京危機〜 − 旧・小説投稿所A

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【保】特生3課〜東京危機〜

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『ムッ、ここをこうして。あれ?』

ヘッドホン越しに警部補の悪戦苦闘の様子が伝わってきた。

『レインボーブリッジ封鎖完了!』

『増援はこれから?それでは遅すぎると言っているんだ!』

『対空火器が足りない。警視庁前に近SAMを寄越してくれ。87式対空機関砲でもかまわない』

『ええい、自衛隊はまだ来ないのか?』

警察無線に入り交じって自衛隊の無線のやり取りまで聞こえてきた。

『スマン。悪いがどうしてもうまくいかん。それで我慢してくれ。何が警察無線で、何が違うか判断出来るだろ?』

「分かりました」

警察無線ははっきり聞こえるのに対し、他の無線は雑音混じりで不明瞭なので聞き分けるのは難しくない。

『こちらYAL10便より管制塔へ。軍用と思わしきヘリが羽田空港に向かっているんだが、自衛隊か?』

『そんな連絡受けてないぞ。まさか……!』

そろそろ来るか。

『羽田の管制官さん聞こえます?こちら警察です。我々が対処しますので、避難してください』

佐藤警部補は羽田空港の管制官に呼び掛けた。

『……もし聞こえる機がいたら聞いてくれ。羽田空港に向かってきている機に引き返すように指示してほしい。これより羽田空港は閉鎖する。スミマセン、あとはお願いします』

椅子から立ち上がる音とバタバタと走るような音から、管制官たちがちゃんと避難を開始したことが分かった。
さあ、そろそろ来るはずだ。
オイラは手筈どおり、ターミナルビルの陰に身を潜めた。


ヘリのローターの音が聞こえてきた。
無意識のうちに手がロケット砲へと伸びる。
いや、まだだ。
落ち着け。
そして、とうとう招かざる客人がその姿を現した。

「何だありゃ」

オイラの口から驚きの声が漏れる。
流れるような美しい流線型のフォルム。
それは自分が抱いていたヘリコプターの像とは大きく異なっていたからだ。

『噂にゃ聞いてたが、かなり個性的な形状だな』

佐藤警部補も感想をもらす。
すると上空で2機が二手に別れた。
1機はそのまま飛んでいき、もう1機は羽田空港へと舞い降りてきた。
そして

「やりやがった」

機首の下に装備されている機関砲が火を吹き、その延長線上にあった管制塔を蜂の巣にしていった。

『行け!』

「了解しました!」

オイラはターミナルビルの陰から飛び出し、威嚇のためにロケット砲を取り出してヘリに向けた。

「破防法の現行犯で逮捕する!神妙にお縄につけ!」

と格好よく言い放ったはいいが、あることに気付く。
テロリストたちって、何人だろ?
オイラは今、日本語で言った。
しかしもしテロリストたちが外人さんなら通じない。
じゃあ英語か?
でも英語圏じゃない国出身のテロリストかもしれないし……。

『避けろコタロウ!』

「えっ?」

考えることに耽っていたオイラは、あろうことかヘリから目を離してしまっていた。
佐藤警部補の言葉によって我に返ったオイラの目に入ってきたのは、腹に目がけて飛んでくる“何か”。

耳をつんざくような爆発音。

今まで経験したことのない凄まじい衝撃。

「グガァアアァァーーッ!!」

痛みに耐えきれなかったオイラは思わず咆哮を上げ、その場に蹲った。
ああ、対戦車ミサイルを食らったんだ。
視界が霞み、佐藤警部補の呼び掛ける声もよく聞こえない。
クソ、なんて痛みなんだ。
人間に例えるなら――




――速球派のピッチャーのストレートが鳩尾に当たったときのバッターの痛みレベル、といったところだろうか。



<2011/12/05 22:53 とんこつ>消しゴム
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