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バベルの塔 − 旧・小説投稿所A
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バベルの塔
− 繰り返す最期 −
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ルギア「しかし随分と広い会社だな……扉がそこら中にあるじゃないか」

ギラ「そりゃ….大企業の本社ともなれば当然さ。獲物探しも楽じゃないねぇ….フフ」

ルギア「ギラティナお前、本当に頭でも打ったのか? 五年前と性格が反転しているぞ」


ピカピカに磨き上げられた廊下を直進して社長を探す。幹部クラス以外は立ち入り禁止というだけあって、平社員は見る影もなかった。何より分かりやすのが、社長や幹部、ゲーチスやアルセウスは「星」を付けているという点だ。


ルギア「む…..この部屋、怪しくないか?」

ギラ「……相変わらず勘が冴えてるね。ちょっと待ってて….」


伝説級のエスパーともなれば、わざわざドアを開けて確認、などという面倒はしない。たった四秒ほど扉の前で目を瞑った後、ギラティナは確信した。


ギラ「……いるね。誰かは分からないけど…ここだよ絶対」

ルギア「いいエスパーだ」

ギラ「ハハ….ボクのは単なる霊力さ」


横目でチラリとルギアに微笑むと、ギラティナは取っ手に触手の先を引っ掛けた。しかし押しても引いても、鍵で閉ざされているようだ。

微かに溜め息をつき、仕方なく触手をクロスさせて扉に斬り込んだ。


ザシュゥゥッ!!! ギチチィィ……バタンガタン!!


長方形だった扉は、四つの三角形の鉄板に裂けてしまった。普通にドアを開けるよりも大きな入り口から、二匹はそっと顔を覗かせる。何の変哲もない、至ってノーマルなオフィスだった。もっとも、社員らしき人影はないが。


ギラ「…どのデスクの下に隠れたと思う?」

ルギア「どちらにせよ戦闘になればこの机は邪魔だろう。今度は私の出番だ……!!」


やけに意気込むルギアを横に、ギラティナは一歩下がった。ルギアは純白とも白銀とも言いがたい両翼を広げると、エアロブラスト(手加減Ver.)を繰り出した。


ゴォォォォ……ビュゴゴゴゴ!!!

ギラ「うわっ….危な……」


吹き飛んでくるパソコンをかわし、ギラティナはヒュゥッと口笛を鳴らした。竜巻が竜巻にのみ込まれ、また竜巻を生んでしまう。そしてルギアが強く念じると、デスクや資料は全て部屋の隅に片付けられた。



嵐の過ぎたオフィスのど真ん中で、彼はいた。



ルギア「……なんと。お前も復活していたとは….冥土で寝てれば幸せだったろうに」

ギラ「懐かしいねぇ…..『表』のボクが面識あるみたいだけど」

ゲーチス「フン….嫌でも忘れんわ」


十字型の大剣を床に突き立て、奥歯をゴリゴリと鳴らすゲーチス。印象的だったあのマントは既に引っぺがし、身軽そうな戦闘着に身を包んでいる。事実、あのマントの下にこんな筋骨隆々、ムキムキの肉体が隠れていようとは、流石の二匹とも驚いた。というより・・・・




「………ッッ……プッ…ハハハハハ……」

「アンバランスって……ハハ、面白いね……」

「だ、黙れ貴様ら!!」


そりゃ自慢の肉体をバカにされては、誰でも怒るに決まっている。しかし剣を振るうための上半身だけを鍛えすぎたようで、足腰はまるで割り箸だった。あまりの差に、ギラティナもルギアも思わず手を口にやった。


「あはは…ゴメンゴメン。君って意外に面白いんだね…」

「うむ。感動したぞその肉体美(プッ」

「こ…このカス共、言わせておけばぁ….!!!!」


まあ堪忍袋の緒がキレるのも仕方ない。ゲーチスは深床に々と突き刺さった剣を引き抜き、早速、憎しみしかないルギアたちへと突っ込む。

二匹の顔からクスクス笑いが消え失せ、急に真剣そのものになった。


「喰らえ…..風の生傷!!」

「…………(プッ」
「ルギア来るよ!!」


某アニメの話題はさておき、ゲーチスの剣が放ったエネルギーは凄まじいものだった。運よく逸れたものの、背後のホワイトボードが真っ二つに分断されていた。


「……107ポンド砲!!」

「斬れ味はまあまあだが…本家とは雲泥の差だな」


今度はルギアも避ける素振りを見せず、左の翼を盾がわりにして突っ込んだ。斬撃を歯を食いしばりながら受け流し、隙を伺ってハイドロポンプを撃ち込む。

トルネード状の水流に押し流され、ゲーチスは天井に叩きつけられた。


「ぎ….ぐぅ……!!」

「やぁ2分の1マッチョ君、元気かい?」

衰えのない素早さで、ギラティナはゲーチスをはたき落とす。イルミア島で暮らしていた頃から、彼らのコンビネーションは群を抜いていた。
さらに横たわるゲーチスにも情けは掛けず、にゅるにゅると先端に赤いツメの付いた触腕を巻きつける。首筋はもちろん、ムダに立派な大胸筋、さらには脇の下まで、6本のどす黒い蛇がコチョコチョ這っていった。


「あひ….や、やめろぁ…ぁぁあヒイ…あひゃひゃひゃひゃ…!!!!」

「いい顔だけど……もっと歪んでくれた方が面白いんだけどな」


くすぐるまでもない、敏感な部分を触手に撫でられただけで、盛大な笑い声が部屋に響いた。ギラティナは不純な笑みを咲かせつつ、ゆっくりと彼の耳元に口を近づけた。生温かい吐息が、ザワッと耳の肌を舐めるほどに。


「さぁ….逝ってくれる? 僕と一緒に」

「は、はァ…!?」

「冥界に帰ろうよ。付き添い役は僕が買ってあげるからさぁ………ね?」


コトンと首を傾げ、ゲーチスの濁った目を見透かす。口の端から零れる涎をジュルッと啜る。人の魂をエサにする魔物のような不気味な笑顔で、ハムッと彼の耳たぶを咥えた。


「ひうぇ…….馬鹿野郎…そんな….待て、やめろ…!!」

「やめない」

「ちょ、ちょっ助け…..私に…あふ…ぃ….助けて…くれ…」

「助けない」


呂律の回らない悲鳴を口ずさみながら、ゲーチスは早くも命乞いの態勢に入った。しめて一週間は約束されたこの世での時間を、ほんの数時間でシャットダウン・・・そんな不幸は受け入れられない。地獄でまた責め苦を受けねばならないなど・・・そんなこと認められない。











「まあ落ち着け、ギラティナ」

「あれ、そんなに興奮してた? ボク」

「興奮も何も….口からハァハァ荒い息吐いてただろう」


恥ずかしい自分の姿を想像し、ギラティナは頬をほんのり紅潮させた。シュルシュルと触手の拘束から解放(ゲーチスがまた笑い声を上げた)すると、彼の身柄をルギアに引き渡した。


「ひとつ聞くけど、どうやって殺すの?」

「フフ…殺すとは人聞きが悪いな….私もこいつも既に死んでいる身だろう? だから何をしてもいい訳だ。つまり….」


ルギアの赤い瞳が、ギョロリと目下のゲーチスへと移った。



「十年前と同じさ…….腹の中でたっぷり愛でてやる」

「ひ….そ、そんなの私が素直に…!!」

「フフ…本心は入りたいのではないか? 自己申告すれば多少は手加減してやるが….」

「ふ、ふざけるな…!!!」


ゲーチスはルギアの顔から、彼のふっくらしたお腹へと目を落とした。もし自分が第三者なら褒め称えたいほどの美しさだが、そこに入るとなれば話は180°逆転する。

十年前と何ら変わらない死に方・・・胃袋に押し込められたあの感覚は、今でも体が覚えていた。



「とにかくご免だ….それだけはご免被る!!」


飛び立つ隼のように地を蹴り、恐怖に背中を押されながら入り口を目指した。追いかけて来ているのか、など確認する暇もなく、ただひたすらに走った。

しかし何時の間に追い越したのか、ルギアの姿はドアの真正面・・・この部屋から出る唯一の出口を塞いでいた。翼を広げて、ゲーチスが腹に飛び込んでくるのを待っている。



…ガシッ!! むぎゅぅぅぅぅ…!!!!

「あぁ…離せ….離せこのぉぉぉ!!」
「フフ…捕まえた」

足裏で急ブレーキを掛けたが、ダッシュの勢いは止まらなかった。そのまま筋肉質な上半身がグイッと彼の元へ引っ張られ、喚くまでもなく強く抱きしめられる。運の悪いことに、逃げられない絶好のポイント・・・水色の中央部分に。


………ムッ…ギュ♪


「どうだ? 『気持ちいい』のか?」

「は……はぶぅ…ぅ….」


巨大なゴム毬と押し相撲でもしているようだ。快適な温かさと柔らかさを兼ね備えた、理想と言われれば理想のクッション腹。おまけにルギアの腕の力も合わさって、ますます沈み心地だった。


コプッ……ゴポ…グルルル…


ゼロ距離で耳に飛び込んでくる、ルギアの空腹を示す音。それを聴くだけで、胃袋の中でポコポコと泡が割れているのが想像できた。まるでもう、そこに居るような感覚に襲われる。恐怖で荒っぽい息を吐けば、顔面に張りついた肌で吐息が跳ね返ってくる。



「次はこれだ」

「あッ….ぶふぅ…んんぅあぁ!!」


ふと現実を見れば、ムチムチと張ったお腹の下敷きとなっていた。呼吸が苦しいほどの重量感からして、うつ伏せで寝転がっているようだ。耐えがたい重みを退かそうと押し返しても、柔らか過ぎるため力が入らない。


「ほれほれ….これでもご不満か?」


むっちりした豊かな腹に比べれば、自慢の筋肉などたかが風前の灯火にすぎない。おまけに白旗を上げたところで、所詮このルギアは救いの手など差し伸べてくれないだろう。






「まだまだだ….」


ルギアのやや低めなテノール声が、より一層甘美に聴こえる。巨大なバランスボールのようなお腹の下から、ゲーチスは器用に引きずり出された。そして一瞬だけ白い翼の上で休憩をもらった後、今度は足先からバクンと咥えられる。


「…やはり肉付きがいいのは上半身だけのようだな….残念」

「あ…は、止めろ…!!!」


万物をトロトロにしてしまう胃袋への入り口が、もうすぐそこまで迫って来ている。ぶよぶよした舌が嫌らしい動きで踝を引きずり込み、そして呑み込む。


・・・・・ゴクン・・

「アッ………」


足首から膝、さらには腰にかけてが、一気に柔らかい喉肉に埋もれる。あとは連鎖的な脈動によって、無防備や胸までもが喉の奥へと消えていった。





「…げぷっ…..逆三角形は食いづらいが…なかなかの喉ごしだ。気に入ったぞ」


スラリと長い首に膨らみが生じ、胃袋に向かって沈んでいった。ギラティナはそれを、ただ羨望の眼差しで見ているだけだった。






<2011/11/17 11:31 ロンギヌス>消しゴム
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