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バベルの塔 − 旧・小説投稿所A

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バベルの塔
− 悪逆プロローグ −
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カタカタッ…カタカタカタ….カタッ、パシッ…


カビ臭い研究室に木霊する、キーボードを高速で叩く音。
バビロンは腰を曲げ、ドラゴン専用の椅子に身を預けていた。手垢
だらけのキーボードの隣には、数時間前に飲み干したコーヒーカッ
プが置いてある。


「……フゥ…一段落ついたな…」

「おーい、バビロ〜ン。お邪魔するぞ」

「邪魔するなら帰ってもらおうか」

「まあそう言うなやw」


深夜二時を過ぎているにも関わらず、ダボダボのTシャツで部屋に
入ってくるロンギヌス。軽度のネット依存なためか、彼も夜型の
生活になっているらしい。


「趣味もいいけど….あんまり夜更かしするなよ? ほい、これ差し入れ」


そう言うと、皿に載ったフライドポテトを机にカタンと置いた。
それからロンギヌスの手が離れるや否や、バビロンは食欲に駆ら
れる無邪気な子供のように、パクパクと鷲掴みで貪り始めた。


「…へぇ….私に指図するとは、お前も偉くなったものだな」

「名目上、お前のマスターなんでね。まっ、体壊さないようにな〜?」

「はいはい」


没頭していた仕事も忘れてポテトに夢中になるバビロンを尻目に、
ロンギヌスはラボを出て行こうとした。しかしドアノブに手を掛け
た瞬間、背後から彼に呼び止められた。



「…な、おい…マスター…..」

「はい?」

「その….別にたいした事じゃないんだが…..」

「じゃあ言うなよw」

「…まあ聞いてくれ。その….私は今まで…仲間として、役に立った事
があったか…?」


消え入ってしまいそうな、普段の彼とは思えない程の小さな声。





「…っていうか何気に一番助けてくれてるよな、皆を」

「……そうか……ならいい….」


質問が終了したのを見兼ねて、ロンギヌスはその部屋を後にする。
高性能パソコンがウォンウォンと唸り声を上げる密室の中で、バビ
ロンは椅子をガタンと鳴らして立ち上がった。



「…….悪いな……」

カタカタカタッ….パンッ!


バビロンはとある相手へのメールを作成すると、Enterキー
を押した。画面には送信中の文字が浮かび、そしてーーーーー





ーーー送信が完了しましたーーー




「……はぁ……ッ…」


数秒前の行動に後悔でもあるのか、バビロンは顔を両手にうずめ
て椅子にもたれ掛かる。五時間に渡るプライベートな仕事を終え
た彼の顔からは、ちっとも満足感が感じられない。まるで自殺を
決めた青年のように、負のオーラが広がっていた。



「どの道もう戻れない…..覚悟を決めろ、この臆病者」


自分で自分に言い聞かせ、頬を叩いて眠気を覚ます。のんびり休憩
している時間などない。彼には更なる仕事があるのだ。叶えたい……
どうしても実現しなければならない仕事が。


バビロンは心に鞭打って起き上がると、指を組んでグーンと背伸び
をした。天井が低いため腕は完全には伸ばせないが、気分をリセ
ットするには充分だった。残りのポテトを皿ごと傾けて口に流し込
み、バビロンは暗い面持ちで部屋を出て行った。


ーーーここに来て始めて、ラボの全電源を落としてから。




<2011/10/11 17:04 ロンギヌス>消しゴム
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