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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A
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神々の戯れ〜水神の苦手なもの〜

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「でもさ、プロジェクターってスクリーンが無きゃ駄目じゃん。どこにもそれらしきもの見当たらないよ」

「うーん、それなんだよなぁ」

月夜兎は腕組みをして考え込む。
幽霊の正体は間違いなくプロジェクターによるものだが、肝心のスクリーンが分からない。

「あれ?何でこんなところに」

その時水神が素っ頓狂な声を出した。

「どうした?」

「マンホールがあるんだよ。こんな林の中にさ」

確かに何でこんなところに、と月夜兎も思う。

「怪しいものは調べとくか。開けよう」

月夜兎は力をこめてマンホールのふたを開けた。
だが。

「おわっ!」

月夜兎は尻餅をついてしまった。

「何だこりゃ?めちゃくちゃ軽いじゃねーか」

「マンホールのふたって金属だから重いはずなのに」

水神は頭にはてなマークを浮かべながら懐中電灯で穴の中を照らす。

「月夜兎。これ見て!」

「……これは」

穴の中にはしぼんだ黒いビニル製の何かと小型ポンプがあった。

「このマンホールは偽物ってわけか。さてと、これは何なんだろうね」

月夜兎はポンプのスイッチを押す。
すると黒いビニルがどんどんと膨らみ始めた。

「これがスクリーンだったのか」

そしてビニルが人の身長ほどまで膨らんだのを見て月夜兎はそう呟いた。
この人の身長ほどの大きさがある長細い浮き輪モドキをスクリーンの代わりにしてたというわけだ。

「これっぽいね」

いつの間にか水神はプロジェクターのスイッチを入れていた。
黒い長細い浮き輪モドキには確かにあの幽霊が投影されていた。

「よくもまあこんな手を込んだ真似を」

「グルル、私に恥をかかせやがって。絶対に許さない」

先ほどまで怯えていた水神だったが、幽霊の正体を知った瞬間から怒りがこみ上げてきていた。

「この分だとあとの不可解な現象も全部トリックがあるはずだ。完膚なきまで徹底的に潰すぞ」

「私も手伝うよ」

ふたりの神を本気にさせてしまった日本の山岳のみどりを守る研究所の運命はこの瞬間に決まった。
そして数日後、崩壊がやってきた。



<2011/09/27 00:46 とんこつ>消しゴム
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