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彼が今どんな表情をしているのかは分からない。

私には表情を伺う事は出来なかった。

私は彼を裏切った。

最後まで面倒を見るのではなく、

〝喰い殺す〟まで面倒を見ると言ったようなものだ。

「それで……僕にどうして欲しいの？」

「…………」

「どこかに行ったって僕は生きられないよ……狼姉が居ないと僕は……」

「ソーマ……だが」

最早、以前の生活には戻れないだろう。

可能性は無いとはいえ、喰われる恐怖を背負いながら一緒に居られる筈が無い。

「僕は……狼姉が好きだよ……離れたくない」

「……そんな馬鹿な」

「……狼姉」

「……雨に濡れても？」

「うん……」

私は転身を解き、狼獣人に、

生まれた時と同じ……ありのままの……フローラに戻る。

月竜では幾分か勝手が悪い。

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