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ソーマが美味しそうにオムライスを食べ始める。

その隙を見逃さずにトレゾアは足音、気配を殺し
背後に回る。

音もなく、二尾の金狼に転身する。

(美味そうだ……)

今にも食い付きたくなる衝動と涎を舌舐めずりで抑え、

二尾をソーマに忍ばせる。

「あれ？　お姉ちゃ……」

頃合いだと判断したトレゾアは生暖かい吐息を吐きかけた。

「えっ……」

振り向いたソーマは固まった。

ぐあっ、と広げられた狼の巨口。

それがどんな状況下なのかソーマには判断が出来なかった。

「喰わせてもらう」

しかし、それは見せつけるだけで咥えようとはしなかった。

「え、あ……」

幸福な表情が絶望を貼付ける。

「その表情がまた、そそられる」

今度はわざと音を零し、舐めずる。

そして、恐怖を煽るように喉を鳴らす。

ソーマから見れば、完全に自分を狙う、

獰猛な獣に見えるだろう。

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