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「お前、名は？」

「ソーマ。狼姉は？」

「私は名前は捨てた。名などない」


「フローラ。狼姉はフローラじゃないの？」

そう来たか。

気のせいではないなとは思っていたが……

「やはり、お前だったか。見たのか？」

「う、ううんっ、見てない」


ソーマは慌てて口を噤んだ。


子供は嘘をつくのが下手だ。すぐに分かる。

「別に咎めるつもりはない。どうなんだ？」

「……ごめんなさい」

うるうる、と目に涙を滲ませ、ソーマが身を竦める。

私は肩の力を緩める。

「素直なのは良い事だ」

精一杯に声を和らげ、慰めに頭を撫でた。

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