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『運命』の記憶 − 旧・小説投稿所A

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『運命』の記憶
− 水の王よ、舞い戻れ −
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緊迫した雰囲気に包まれた、リビングという名の広い戦場。約束の時刻ぴったりに、バビロンはその中へ踏み込んできた。薄紫色の汚れにまみれた…人質のヒレを引きずって…


「お前いったい…カイオーガに何を!?」

「なぁに、ちょっとした調……遊びの相手をしてやっただけだ。息もしっかりしてるし…生きてれば文句は無いだろう?」

「そ、そういう問題じゃ…!!」

声を張り上げて怒るロンギヌスを、ラティオスが肩で制した。彼らの作戦上、冷静さを欠くのは御法度だからだ。ロンギヌスは呼吸を整え、力無くダラリとしているカイオーガを見つめた。


「さぁそれでは人質を渡してやろう…代償は用意できているな?」

「ああ…」

ロンギヌスはジャージのポケットに手を突っ込み、古びた設計図らしきものを取り出した。表紙には、『T4ガイアメモリ』と汚い字で書かれている。そして彼の背後からはバビロンのもう一つの要求…レムリアがいた。両手を後ろで縛られ、俯いたまま黙り込んでいる。


「先払いしてもらおうか。ムゲン竜、設計図を持って俺の所に来い。変なマネをすれば即座に…シャチの死体ができあがるぞ?」

バビロンの命令通り、レムリアはロンギヌスから設計図を受け取った。縛られた手に渡されたそれが、恐怖でプルプルと震えている。レムリアはそのまま、バビロンの背後にまで歩いていった。



「フフ…よし、契約完了だ。」

背中を蹴り付けられ、ロンギヌスの元へと返るカイオーガ。体のあちこちに生傷が溢れていることから、恐らく凄まじい暴虐を受けていたのだろう。ここまで悲惨なカイオーガの姿は、ロンギヌスも初めてだった。




「マス…ター…だめって言ったのに…」

「シーーッ・・」

ロンギヌスは人差し指を立て、口の前に持っていく。「静かにしろ」の合図に、カイオーガは戸惑うしかなかった。バビロンが強い腕力でレムリアを押さえ付けながら、威嚇を絶やさずリビングを出て行こうとしていた。





「フフ…それでは俺は退散させてもら…」

「今だ!!!」

キチッ…『DUMMY(偽物)!!』

バビロンが部屋を出る一歩手前で、ロンギヌスは隠し持っていたメモリを鳴らした。それと同時に、バビロンに捕らわれている『偽物』のレムリアが、霧のように消失してしまう。さらには天井を破って現れた『本物』のレムリアが、バビロンの手から設計図を一瞬にして奪い取る。たった8秒ながらも、全ての計画が成功したのを見て、ラティオスとロンギヌスはガッツポーズを決めた。



「くっ…貴様ら…!!」

「悪いねー…人間ってのはずる賢い生き物なんだよ。」

皮肉を込めてトントンと頭を叩くロンギヌス。人工知能を持つバビロンにも、流石に怒りという感情が沸き立つのだった。爪をギラリと研ぎ澄まし、牙を剥いてロンギヌスに飛びかかった。


「全員気をつけろ!! 今度捕まったら殺されるぞ!」

「捕らえる前に喉を裂いてやるさ…グラァア!!!」

鋭い爪の一撃が、本棚を綺麗にスライスした。運良く避けれたものの、その威力にロンギヌスは多少の怯えを覚える。


「…こりゃ一発喰らえばハムになるな…とりあえず逃げるぞ!!」

キチッ…『ZONE(地帯)!!』

大勢の者を瞬間移動させられるガイアメモリ。『地帯』の記憶を秘めたそれを首に押し込み、ロンギヌスは仲間を連れてリビングから消え去った。さっきまでロンギヌスの顔があった所を、バビロンの爪が虚しく空を切った。


「チッ…逃げられたか…」

だが指名手配されている彼らが、充分な用意もなしに外の世界に出て行くはずがない。まだリーグのどこかにいると確信し、バビロンは部屋を飛び出していった。




=========

数十分後・・



「どこだ…? どこにいる…?」

ロビー、屋内プール、バトルルーム、殿堂入りの部屋、トレーニング室。その全てを探したバビロンだったが、ロンギヌス達の手掛かりすら掴めないでいた。リーグの豊富すぎる施設が、彼には巨大な迷路となっていた。

「仕方ない…今回だけは役に立ってもらおうか…」

長々と続く廊下で立ち止まり、窓から外を見下ろすバビロン。なんと眼下に見渡せたのは、うじゃうじゃと押し掛けてくるバイオリック社員だった。実はバビロンがリーグ内に侵入した時から、ずっと待機していたのだ。


「来い。仕事だ。」

「はっ!! 何でありましょう!?」

「ムゲン竜を最優先に、リーグ中を捜索しろ。発見次第、俺にすぐ報告をよこせ。」

「了解しました!!」

バビロンは少しの優しさもない言葉で、淡々と命令する。精鋭の社員達はすぐさま行動を始め、リーグを侵すアリのように散らばっていった。


<2011/06/08 23:45 ロンギヌス>消しゴム
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