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ぼくのなつやすみ - 旧・小説投稿所A
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ぼくのなつやすみ
- 違反者と逃亡者 -
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「マ~ス~タッ、起きんしゃい♪ マ~ス~タァッ!」

「は、はひぃ…?」


目を閉じたのは確かバビロンの腹の中。しかし目を開けた
のは、カイオーガの白い腹の上だった。仰向けに寝転がっ
ている彼の上で、猫のように撫でられていた事に気付く。


「ぎゃあ! な、ななななにを…!!」

「ボクの寝起きサプライズ♪ 楽しんでくれた?」

「ま…まあ嫌ではないけど….っていうか俺、バビロンに食われてたはずじゃ…」


ふと辺りを見回せば、目に付いたのはバビロンの遺体(気絶)。
カイオーガに理由を問い質すと、すぐに答えは返ってきた。


「ボク頑張ったんだよ? 舌でバビロンのお腹からマスター
を引っ張り出すの。まあ成功したからいいんだけどね♪」

「ほぉ~、成功したのに何でバビロンは失神してるんだ?」

「いやだって….舌突っ込んだ瞬間、バビロンったらおっ
そろしい悲鳴上げてさ…気がついたら気絶してたの」

「・・・窒息だよ、それ」


生まれて初めてバビロンに同情するロンギヌス。そりゃ舌
を何の前触れもなく喉に突っ込まれちゃ・・耐えられる訳が
ない。(経験アリ)


「それで? そんなに苦労して俺を起こした理由は?」

「せ~の、あっち向いてホイッ!!」


ロンギヌスの芸人魂に火がつき、ノリで右を向いてしまう。
そこには買ったばかりの液晶テレビにかじり付く、ラティ
オスとレムリアとギラティナの姿があった。


「…なにやってんだお前ら」

「あっ、マスター! ちょ…大変ですよ、テレビテレビ!!!」


冷静に対応してくれるの思っていたラティオスがやけに興奮
しているので、思わずプッと吹き出す。その直後カイオーガ
にドンと背中を押され、テレビの画面に衝突する。


「なに遊んでるんですかマスター!!」

「画面見えないじゃないの!!」

「どけ、どけ、どけ」


誰一人として「大丈夫?」と言ってくれないのに失望感を
抱きつつ、ロンギヌスはあぐらでテレビの正面に陣取った。
画面に映し出されていたのは、見たくもない自分自身の顔。



『え~繰り返します。警視庁は先ほど重要犯罪人
として、こちらの三名を全国指名手配しました』

「……あ、あれ…まだ夢見てんのかな…」


『一人目はロンギヌス(偽名の可能性大)、16歳。【ド変態乙】の罪で手配されています』

「はあっ!!? いや、まあ変態なのは認めますけど…」


『次にエターナル=Q=カイオーガ、14歳。
【むやみに人を食い過ぎ】の罪で捜査されています」

ラティ「(それってつまり大量殺人罪なんじゃ・・)」

カイオ「またしてもボク有名人? やったねっ♪」


『最後にバビロン(仮称)、年齢不詳。
【悪臭防止法】違反の疑いで手配されました』

全員「(うん、これは仕方ないかも・・・)」


みんなが罪を認めるバビロンも、やっと目を覚
まして
ムクッと起き上がった。虚ろな眼をしながら、千鳥足
でテレビの前へと歩いてくる。


「いったい何の騒ぎだ? 昨日徹夜だったんだから寝かせてくれ…」

「気絶してたんじゃないのかよ!!」
「バビロンさん、自首して下さい!」
「今まで楽しかったわ!」
「See you~♪」









「・・・・は?」


当然早口で言われたところで、状況を把握できるはずも
ない。全員は即座にスペースを空け、バビロンがテレビ
を観られるようにした。

・・・一分後、バビロンはため息交じりに口を開く。


「私が素直に、『今までお世話になりました』とでも言うと思ったのか?」

「「「(やっぱりダメか・・・)」」」

「大体マスター、あんたも折り紙つきのお尋ね者だろう? 【変態乙】の罪w」

「なっ….何が悪い!!」


寝起きのバビロンにケラケラと笑われ、ロンギヌスは顔から
火を吹き出す。『被食フェチ』という事実をみんなに再認識
されると、改めて恥ずかしい。


「変態だっていいもんな? マスターは」

「ぐうっ….わ、分かってくれるのはお前だけだぁ…」


ムカデモードのギラティナが、リーグNo.1の巨体で緩めに
締め上げてくる。たったそれだけの行為なのに、ロンギ
ヌスは小さな喘ぎ声を我慢できない。


「イタッ!! ちょ…棘が食い込んでる食い込んでる…!!」

「あっ…それは失礼したな」


スッと抱擁を解き、テレビの前へと舞い戻るギラティナ。彼の背中を横目で追いながら、ロンギヌスはハッとした。


「ま…まてよ…?」


真っ赤だったロンギヌスの表情。それが一瞬にして、凍りつ
いたように青ざめた。時計に目をやり、近所迷惑な大声で問う。


「カ、カイオーガ….この報道、何時からやってる!?」

「えー? マスターが起きる…二時間前ぐらいかな」

「ヤバいっ!!!!!!」


ロンギヌスは窓辺に向かって疾走し、身を乗りだして外の
様子を窺う。嫌な予感は、笑えちゃう程当たっていた。


「ヤバイぞ…隣村のやつらだ…」

「賞金目当てかな?」


見晴らしのいい丘の向こうから、ワーワーとやってくる
人々。視力が悪いロンギヌスでも、彼らのムードが険悪な
のは見て取れた。いや…険悪というか…張りきっている
というか…


「と、とにかく大至急ここを離れる準備しろ!」

「えっ、篭城はしないの?」

「今度は警視庁だぞ!? 時効まで籠もってられないだろ!」


巨大企業から指名手配されたときは、悪党を蹴散らしたお礼
として政府が手配をやめさせてくれた。だが今回は訳が違う。
警視庁をぶっ潰したりしたら、政府が直々に報復してくるかも
しれない。

まあ…そもそも警視庁が簡単に潰れるはずがないが。




====================




「な、なんでお前らが一緒に来るんだ!?」


ロンギヌスが怒鳴るのも無理はない。荷物を整理した後、
逃亡組はロビーに集合したのだが、ラティオスを始め他の
メンバーまでくっ付いて来たのだ。当然カイオーガの隣
は、オリジンフォルムのギラティナが占拠している。


「お、おいギラティナ、気持ちはものすごぉ~く分かるけど…」

「ダメ…なのか?」

「うっ……」


鋭い眼光を放つ彼の瞳が、急にうるうると潤みだす。カイ
オーガを右翼の三本の触手でそっと抱きしめ、ロンギヌス
に頭を下げた。


「….頼む、邪魔はしない。必ず力になってみせる」

「マスター、ボクからもっ!」


二匹とも嘘の無い、透き通ったガラスのような眼だった。
その気迫に押され、ロンギヌスはやれやれと同行を許可する。
そして賞金稼ぎがやってくる前にと、いくつか注意を言い渡した。


「お前ら、目的は分かってるな?」

「もっちろん♪ ピクニッ…」

「世間からの逃亡。あと…誤解を解くために、
警視庁に乗り込んだ方がいいかもしれませんね」

「そのとーり。カイオーガ、ピクニックは今度するから泣くな」

「……はぁぁい」


右ヒレを額の前に持っていき、ピシッと敬礼のポーズを示
すカイオーガ。一瞬無視されたのがショックだったのか、
左ヒレは濡れた眼を擦っている。


「よぉし….出発!」





<2011/08/21 00:45 ロンギヌス>消しゴム
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